何より、そもそも空気が冷えていて冷たい風が身体に当たるのに、自転車で走ればさらに風を起こして走ることになるから、身体が受け止める風速は自然の物の数倍に達してしまう。
木枯し紋次郎をわざわざ呼びに出かけて伴走を頼むようなもので、そういう状況で自転車に乗っても楽しくもなんともない。
ということで、西高東低の北の大王が張り出してくる冬型の気圧配置は太平洋岸に暮らすボクにとって、真っ青な空と濃紺の海を提供してくれてとてもありがたいのだが、やはり友とすべきは太平洋高気圧と南寄りの暖かい風なのである。
紋次郎ちゃんゴメンナ、またねっていうしかないのだ。
で、昨日。
天気予報は東京の最高気温を14度と予報し、実際にとても気持ちの良い透き通るような青空が広がっていたのだ。
おまけも風もほとんどない。
こうなると湘南の海辺は東京より確実に2~3度は高くなるのだ。
とすれば16~17度にも上がる可能性がある。
11月に入って以降、ほとんど自転車を漕いでいなかったので、身体が疼いたのだった。
よしっ!
上半身はスポーツ用の汗を外に出す機能の付いた肌シャツ1枚と少し厚手のゴアテックスのウインドブレーカーをまとっただけ、下半身はタイツの上に短パンを履いただけの軽装で身も心も軽く家を飛び出したのだ ♪
恥ずかしながらタイツはスポーツ用の筋肉を心地よく締め付けるような上等なものではなく、ユニクロのズボン下用のタイツだからいわば下着である。
これが肌色ならモロに「ももひき」なのだが、色が黒だから、遠目にはわかるまい ♪
世の中には、うわべだけで物事を判断する人が大勢いるからそれで十分通用するのである。
しかし、世間の目は欺けてもお天気ばかりは自分の力ではどうしようもない。家を出て海岸にたどり着く前から所々に大きな雲の切れ端が浮かぶようになり、波打ち際のサイクリングコースに出るとボクの影がほとんど消えかかるようになってしまった。
こうなると北風が吹かなくとも気分はイソップ童話の「北風と太陽」で、薄着で出てきた身を恨みこすれ、身も心も軽々としたルンルン気分はどこへやら。
おまけに相模川左岸河口までの11キロほどは西に向かって走るので正面から風を受けるありさまで、冬の北西の風と来れば……北風小僧の寒太郎クンなのである。
かくして、望みもしなかった寒太郎クンと紋次郎ちゃんに付きまとわれてしまったという和気清麻呂なのだ。
青い空に青い海。そして柔らかな空気に包まれてのんびり波打ち際を走るつもりだったのに……
さっさと36キロを漕いで、家に戻りましたよ。
これに懲りずに次のチャンスを狙うとしますか。
すっかり当てが外れて寒々とした湘南海岸
あれよあれよと雲が広がり、海辺に到着したらこんな空が広がってしまっていた
富士山だってしくじった絵のよう
ともかく相模川の左岸河口まで片道18キロは漕いできた
台風24号がなぎ倒していった飛砂防止用の竹垣の修復もほぼ終わりかけていた
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事