何はともあれわが平方録の由来になった「へぇ~」「ほぉ~」を幾つか。
まずはスノーボードハーフパイプの平野歩夢クンのこと。
偏見に満ちたジジイは街中のスケートボードなどをしている連中と同一視してしまい、ああいう競技を好む人間は押しなべてズボンを腰の下までずらして、今にもずり落ちそうにして履く輩であって、決して相容れない人種だなと思っていたのだ。
それがニュースか何かでちらっと見て、その運動神経のずば抜けたすごさと演技の大胆さに口をあんぐりさせられてしまった。
しかも、テレビのワイドショーだったか新聞の端っこの方に出ていたのか定かではないが、彼の日常は空中で自由なパフォーマンスが繰り広げられるように節制に次ぐ節制で食事は1日1回と決め、しかも水分は水以外は口にしないという徹底ぶりだという。
水以外の飲み物には塩分やら糖分、あるいは様々なミネラルの類、人工の添加物が加わっていたりするのを嫌ってのことだろうと推察するが、出来るようでいて実際にやるとなると簡単にできるようなことではない。
コーヒーもお茶も口にしないなんて…
それを365日、何年も続けているというのだ。しかも空中姿勢をきちんと維持できるように暇さえあれば腹筋を鍛えているのだという。
そこまで徹底しても彼は銀メダルしか手に出来ず、表彰式でメダルをかけられてもインタビューを受けてもニコリともしなかった。
4年後を期してのことだろうが、こういう決意を秘めた変人じみた男は大好きであり〝腰パン野郎〟を見直したのだ。
次はスキー複合の渡部暁斗クン。
ノーマルヒルで銀メダルを取った時、クロスカントリーの先頭集団でドイツの選手とトップ争いをしている時、風の抵抗を一人で受け止めなければいけない不利な先頭にドイツ選手と共に交互に立ち、結果としてドイツ野郎にスパートされて僅差の銀メダルになってしまったのだが、終了後の言やよし。
ドイツ選手の後ろから行けば風邪をよけられて体力を温存できたのではないかと問われ、「フェアな条件で競いたいと思ったから先頭を交代して前に出たのです」と。
アスリートだねぇ。すべての競技を終えた後、コーチがろっ骨骨折で痛み止めの注射をして戦っていたと明かしたのは余計なことだと思ったが、そんなことを暴露しなくったって十分に奴は立派だった。
人間的にも信用が置けるね。
体脂肪が何と5%だというからこちらも驚きである。
フェアプレー精神という観点から見るとスピードスケートの女子500m決勝でオリンピック新記録で滑った後、会場が沸きに沸いて歓声がなかなか止まないのを見て、唇に指を1本当てて「シィ~」のサインを送った彼女の姿も印象的だった。
直後のレースに2連覇中の地元選手が控えていたからだが、短距離レースには集中力が必要で、ざわついたところではその集中力がそがれかねないという危惧からの行為だったのだ。
これも一流アスリートならではの配慮で、自分さえよければという態度とは対極にあるものだったのだ。
それだけでも十分に金メダルに値する。
仲間を置き去りにしてその仲間が悪いのだなどとうそぶくような選手はアスリートとは呼ばない。
レース終了後、地元の期待に応えられずに2位にとどまって悲嘆にくれる韓国選手の肩をそっと包んで「リスペクトしているよ」と励ましたりもしたそうで、この小平奈緒という選手も忘れられない魅力の持ち主である。
日本でも自分さえ良ければ、という風潮がじわじわと広がりを見せる中で少なくとも2人が示した態度には感じるところ大であった。
ざっと並べてもエピソードは数知れないが、これ以外にもスキージャンプの沙羅ちゃんの銅メダルにはボクも少し目が潤んだ。
フィギュア男子のユズルくんも短期間でよくあそこまで回復させた。何かボクらの考えも及ばないような所で、相当な努力があったとしか思えないすごさだった。
緊迫の中のゆる目というのか「そだね~」の言葉が耳に残ったカーリングも銅メダルを取って、まなじりを決して挑むばかりではなく、笑顔で臨む競技というものもあるのだということを知らされた。
メダルに届かなかった選手たちにもオリンピアンとして晴れ舞台に登場するまでの努力の積み重ねは半端なものではなかったろうと思うと「参加することに意義がある」というクーベルタンの言葉はその通りなんだなぁと思うのである。
何度もオリンピックは見てきたのに、こんな感想を持つなんてことが信じられない気分だ。どうなっちゃってるんだろう。
最後に一言。
わざわざテレビで放映させるためにビデオ収録までしてアベなんちゃらが奈緒ちゃんとユズルくんに掛けた意味のない電話。
ありゃぁすべてをぶち壊してしまう愚挙である。愚挙! 見苦しい!
オリンピックの政治利用じゃないか、恥を知れってんだ。
さわやかな風が吹いている現場にしゃしゃり出てくるなと言いたい。
イワタバコの葉が出始めた=円覚寺龍隠庵
同上
こちらは東慶寺のイワタバコ。東慶寺の群落は見事である
東慶寺ではがけ一面にイワタバコが咲く
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heihoroku
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