予報では12~3度にはなると言っていたが、この時期高く外れるのは大歓迎で、お陰で庭仕事もだいぶはかどった。
前日に寒風に耐えながら2階のプランターに生えた雑草取りとプランター内の土の天地返しをしていたお陰もあるのだが、通気性の失われかけているプランターには小粒の赤玉土を混ぜ、そこにたい肥をたっぷりすき込むのだ。
何が楽しいって、こういう具合に植物を育てる土壌づくりをこつこつやっている時が一番楽しい時間である。
見事に咲きそろった花を愛でる時もうれしいし楽しいに決まっているが、ボクの場合は土づくりもそれに引けを取らないのだ。
水を張る前の田んぼや畑の土をそのまま口に含んで土の味を確かめているようなお百姓さんがいるのをテレビか何かで見たことがあるが、その気持ちがボクにもおぼろげながら分かるのだ。
ボクだって耕した土が香り立つようなとき、思わず土に鼻をこすりつけるようにして匂いを嗅ぐし、手に取ってその感触を確かめもする。
傍から見ればあいつは土に頬づりしてやがると思われるようなことをしているに違いないのだ。
もっとも口に含むようなことをする人の土は有機肥料しか施さないようなところで、万が一にも化学肥料を与えているような土は口に含んだりしない。
口に含んで味を確かめるというのは、そういうことでもあるのだ。
ボクの場合も化学肥料を使うのは苗を育てる時に薄めた液体肥料を与えるだけで、庭やプランターに定植した後はもっぱら有機のたい肥をすき込むだけである。
だから株はしっかり育つし、それこそ花はこれでもかと言うくらいにたくさん咲いてくれる。
近所に花の苗を差し上げたりすることがあるのだが、嫁入り先ではわが家ほど旺盛に育って花を沢山咲かせることは稀で、不思議な顔をされるのだが、種明かしをすればそもそもの土づくりに時間をかけているから差が出て当然なのである。
付け加えるなら、有機で育てていると庭はもちろんだが、プランターの中にさえミミズが元気よく暮らしているんである。
庭いじりは現役時代の若いころからやって来ているので土壌づくりの大切さというものも自然と身に付き、職場で声高に口にしたことはなかったが、日常の仕事にも十分通用する真理と言ってよく、何事にも特効薬や即効性のある魔法の類なんてものはあり得ず、地道にこつこつやったやつが最後に笑うのだと信じてきたのも、土いじりをしてきたお陰と言ってよい。
すぐに結果を求めたがり、思うような結果が出ないと言っては焦りまくったり、悲観して自堕落になったりするような奴をたくさん見てきたが、超天才でもなければ最初から結果なんて出せっこないのだ。
畢竟、おとぎ話のウサギとカメの競争に例えれば最後に勝つのはやっぱりカメなのだ。
たかがプランターに花の苗を植え付けるだけで話が大げさになってしまった。
昨日ですべての苗は植え付けが終了した。
後は本格的な花のシーズンを待つだけ。
日ごとに強さを増してきている太陽の光を全身で感じながら、今ちょっと豊かな気分である。
円覚寺の仏殿とウメ
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事