夜明け前の空気は部屋の中であっても冷え切っていて、パソコンの前に座っている足元から冷気が這い登ってくる。
直前までぬくぬくと暖かい布団の中にいたから、なおさら寒さが身に染みるのかもしれないが、居心地はすこぶる悪い。
ここで着替えも済ますのだが、着替えを終えてトイレに行き、歯を磨いて顔を洗うまでに大抵は1、2発のクシャミに見舞われる。
クシャミだけならいいのだが、鼻水が大量に漏れるタイプのクシャミなので、ティッシュペーパーの箱は机上の必需品である。
パソコンと向き合うまでにクシャミが治まればいいのだが、そううまくは問屋が卸さない。
集中できないので強制的にクシャミと鼻水を鎮めようと、ここで気付け薬を使うしかない。
スコッチの胴震いするようなひと口目の刺激が一番効果があり、脳の目覚めにももってこいなのだが、いくら少量とは言っても二口目、三口目になると美味しく感じられて止まらなくなる危険がある。
とくにアイラ島のラフロイグは大のお気に入りだが、こいつこそ美味し過ぎてアブナイ。
そんなこんなで、あれこれ遍歴を繰り返した挙句、現在は柑橘の香りが覚醒に効きそうなコアントローをなめている。
これはドロッと甘いが、それなりのインパクトがあるのだ。
かつては欧州の女性貴族たちが媚薬として愛飲してきたというくらいだから、カクセイ効果は折り紙付きと言っていいんじゃないか。
お陰でクシャミはぴたりと止まり、鼻水もほぼ収まる。もちろん飲んだ当座は若干だが身体も温まる。
まっ、そもそもが朝飲む酒じゃないってことは確かだし、それは何もコアントローに限ったことでもないけれど…
今朝の室温は18.1℃あった。
なんだ快適な温度じゃないか…だれもがそう思うだろう。
ところが、さに非ず。
ボク自身が寒さに弱いタイプだと自覚しているけれど、それにしたってどうにも腑に落ちないのだ。
しかし、現実は受け入れるしかない。
冒頭でも書いたが、寒さは身体全体を包み、特に足元からは冷気が這い登ってくる。
ジッとパソコンの前に座ってキーボードを叩くくらいでは身体の内部からの自家発電も効かないから、なすすべがないのだ。
それに抗う唯一の手段が気付け薬と言う訳である。
そしてズボンは真冬用の暖パンを履き、昼間は半そでの下着に着替えるが、この時間帯は長袖の保温効果の高い下着を着込み、冬用のフランネルのシャツにスコットランドの漁師が北海の漁場で着込むインバーアランの厚手のカーディガンを来て、首にはウールのマフラーを巻き、足にはやはりイギリス製のウール生地の布を巻き付けるといういでたちである。
これでどうにか寒さをしのいでいるのである。
ガスストーブを持ち出してきてセットすれば簡単だが、まだ10月だというところに抵抗感がある。
ただしこれが11月になれば抵抗感は薄れるかと言えば、さに非ず。
やはり勤労感謝の日が一つのメルクマールだと思うし、せめて初冬という言葉を聞かないうちはヤセ我慢も必要なことなんじゃないかと考えている。
少し前にも寒さ対策で寝袋の事を書いた気がするが、これからのことを思うと真剣に考えた方がいいかもしれない。
寝袋に足を突っ込んで蓑虫状態になっていれば暖かさは保証されそうだし、厳冬期だってOKかも。
トイレの方からバタンという音が聞こえた。
冷たい北風が吹き込んでくるので、換気のために開けている小さな窓を閉めたのだが、きちんと施錠できていなかったらしい。
相当な風だ。
近所のアメダスの記録を見ると午前4時に7.1mの風速を記録している。
予報では北の風8mと言っているので、近畿地方に続いて関東地方でも今年初めての木枯らし1号が吹くかもしれない。
沿岸部では35mもの最大瞬間風速の風が吹きそうだとも言っている。
今のところ降っていないが、雨量も多そうだというし、これからがピークになるらしいから通勤・通学の人たちは大変である。
それにしても今朝は鼻水がなかなか治まらない。
(見出し写真は北鎌倉・東慶寺に咲いていたノギク? )