平方録

「彼」は断じてボケ老人ではない!

今日は「彼」の70歳の誕生日である。
つまり、古来稀なという意味の古希を迎えたわけで、誠にめでたいのである。これからも今まで同様、元気に長生きしてもらいたいと思っている。

しかし、最近は「彼」のことを快く思ってこなかった連中がのさばりだし、彼を亡き者にせんと様々な骨抜き工作や健康を損ねるような仕打ちを繰り返しているのだ。
言葉を変えて言えば、命を狙われているわけで、ぐっすり寝ることもままならなくなりつつあって、不愉快な思いをしている毎日なのである。

「彼」とは日本国憲法のことである。
彼の性格の良さは「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」という3つの特徴で示されることが多い。
この3つは近代憲法の性格を特徴づけるうえで特に重要とされている部分で、多くの先進国の憲法にも生かされているのだが、特に「彼」の場合は理想主義的とも言われるくらいに、これらの性格が際立っているのだ。

特に「彼」の掲げる平和主義は「戦争の放棄」まで主張していて、自分を守る最低限の武器以外は持ちません、その武器も、自分が殴られるまでは自分から使うことはしません、と宣言しているのである。
こういう宣言をしている国は、この地球上に「彼」を除いて他に誰もいない。
「彼」を快く思ってこなかった連中は、「彼」のこの部分に我慢がならないんである。
外に出て行って腕力を誇示したいと考える、非常に野蛮な考えの持ち主なのである。暴力を振るわれる側のことなど一顧だにしない、自分さえよければそれでいいのだという傲慢な性格なんである。

加えて、国民主権という性格についても、どうして国民を中心に考えなければいけないのか、国民はシモベであって、粗末な食事を与え、死ぬまで黙って働かせるだけ働かせればいい存在なのだ、と信じて疑わないんである。
だから、思想・良心の自由とか、差別的な扱いを受けない権利とか、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利とか、参政権とか、裁判を受ける権利――とかの基本的人権という考え方にも異議を唱えている。

ボクたちは、これらが消えてなくなったときの生活を想像してみるといいのだ。
「彼」がいなくなれば、権力を握ったごく一部のものだけが甘い汁をたっぷり吸うだけだ。
ボクたちは言いたいことも自由に言えなくなり、若い男は兵隊にとられて血を流すことになる。
逃げ場はないのだ。
戦前の日本がまさにそうだったのだ。
その反省に立って生まれてきたのが今の「彼」なのだ、と言うことを、おめおめ忘れてはいけないんである。

「彼」の頭は依然明晰で、全くボケてもいなければ、考えを変えてもいないのである。
だから「彼」が気に入らない連中は「彼」がボケたとか、考えが古いとか、ありもしないマイナス宣伝を繰り返して、いかにも「彼」がボケ老人の境地に入りつつあるのだという印象を与えようと躍起になっているんである。

ある新聞の行った世論調査によると「憲法を変える必要はない」と考える人は50%で、逆に「変える必要がある」と答えた人は41%だったそうである。
変える必要はないと考える人の方が多いとはいえ、その差は調査のたびに縮まっているようなのだ。
「変える必要がある」と答えた人は、今の「彼」が持っている特徴のことをあまりよく知らないんだろうと思う。
これを知っていて、その恩恵を受けていて、それでなお、そういう恩恵は結構です、いりませんというのなら、それはそれで仕方ないが、よくわからないうちに変えられてしまってから不自由な思いをして、後悔しても後の祭りである。

一番いい学習方法は小学生のうちから自由のありがたさや、日本の平和への考え方について、よく勉強するのが一番なのだが、アベなんちゃらを含めて、そんなことをされてたまるか、という立場の人ばかりだから、「彼」の良いところが伝わりにくくなってきているんである。
それでも、大人にはそれなりの理解力があるのだから、今からでも遅くはないと思うのだが……

かくして「彼」はボケてもいないのにボケ老人にされかけ、挙句に命まで狙われているんである。




モミジの日傘をさしかけられた大仏さん


2日に訪れた長谷の大仏の前で、大仏の正面に立ち、10分近くも同じ姿勢のままじっと顔を見詰めたまま、「対話」している外国人女性(リュックを背負っている)を見かけた。おそらく異教徒に違いないが、大仏の温和な表情に引き付けられてしまったのか。ボクが異国の地で異教の像を眺めても、そのような気持ちになれるものかかどうか。、なかなか印象的な光景であった






今なお険しい相貌を見せる大仏切通し。武蔵や京都方面に通じる主要な道の一つだったとはとても想像つかない
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