平方録

秋田山形紀行 その1

初めて秋田新幹線に乗り、角館へ。
時速320kmの国内最高速度で突っ走るだけあって、さすがに速い。
盛岡まで、あっという間の2時間13分。田沢湖線に入って秋田に向かう線路の上では、さすがにそんな速度は出さないが、50分ほどで角館に到着。

曇っているが空は高く、雨の心配はまずない。駅から10分ほど歩くと武家屋敷の残る一帯に到着する。
見通しの良い一直線の太い道路を画して両側の黒い板塀が続くその塀越しに、覆いかぶさるように、有名なしだれ桜の大木や樹齢200~300年の樅の巨樹がそびえる様は、日本の景色とも思われない見事な景観である。
この佇まいだけでも一見の価値あり。

藤沢周平の「たそがれ清兵衛」の映画化ではロケに使われた中級武士だった岩橋家や巨樹の茂る上級武士の青柳家や岩橋家などが、往時のままに残っている。
アスファルト舗装を引き剥がして土の道に戻し、ちょんまげを結って刀を差して歩けば、そのまま無理なく江戸の時代に入っていけるだろう。
下級武士の松本家も残っていて、茅葺の屋根はそれなりの存在感を見せているのだが、随分と質素なのが印象的である。家の周囲を黒塀ではなくて、柴垣で囲っていて、その昔は食用にもなる植物を植えていたらしい。

これらはほんの狭いエリアに集まっていて、厳格に差別された階級のままに、毎日同じ日常を過ごしていたはずである。同じ日常を繰り返していれば、何とか生きていけた、あるいは、そうするより他に道はなかったと思うと、相当な閉塞感を感じないわけにはいかない。

この町の宿泊設備は十分でなく、秋田市内に移動。食事は比内地鶏の人気店へ。
色の真っ白い、しかもすべすべの肌を持つ秋田美人そのもののお姉さんがとても良かったけれど、秋田の地酒「鳥海山」の辛口が焼き鳥によく合った。

一夜明けて外は雨である。
東北南部は昨日、例年より随分遅く梅雨入りしたそうだが、その梅雨入りした山形に奥羽本線に乗って入る。
新庄まで行き、最上川の舟下りと洒落込むのだ。芭蕉を気取るのである。翁も梅雨時の出羽旅だったのだ。
川の水量はどうだろうか。



樅の巨樹をはじめ、鬱蒼とした気が道路の両側にそそり立つ









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