夜道を自転車で走っている。
どこだかはっきりとは分からないが、自宅までは3~4時間くらい漕ぎ続けなければならないくらい遠い所にいる。
辺りは真っ暗で、頼りは前方を照らすライトひとつ。
それが電池切れと見えてだんだん暗くなってしまい、用をなさなくなってきた。
早く家に帰りたい…焦る自分に気付くがどうにもならない。
それでも何とか光り輝くコンビニらしき明りを見つけて近くまで行くが、店の手前でどういう訳かライトを分解し始める。
どうやら、ライトが電池式なのかどうか確かめようとしているらしい。
多分、電池を取り出して単3なのか単4なのか確かめようとしているのだろうが、電池のケースがなかなか外れないで困り果てる…
そこで目が覚めた。
目覚まし代わりのラジオが鳴り出している。
午前4時の時報の直前で、全国主要都市の天気予報を流している。
昨夜は午後10時に床に就いて以降、一度も目を覚まさなかったから6時間寝続けた末の夢ということになる。
締め切り時間が過ぎているのに原稿が書き終わらずに焦りまくる夢は時々見ていて、今でも現役時代の尻尾を引きずったような夢を見ることに苦笑させられていたが、この夢は初めて見る夢だった。
この夢にどんな深層心理が隠されているのだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら折り戸を開けてベランダに出る。
呼吸するたびにかび臭い匂いが鼻を突いてくる。
少し前まで雨が降っていたらしい。
しかし天気予報は午前4時以降晴れマークがズラ~ッと並んでいる。
昨夜は満天の星だったのに、起きてみると一つも見えない。
好天を期待しているのにな。
また外れか…
緊急事態宣言はまだ続くらしい。
一時は1日の感染者数が東京に次いで多い3000人近くまで膨らんでびっくりしたが、それもだいぶ落ち着いてきた。
で、伸び放題になってうっとおしくてしょうがない髪を3か月ぶりに切ってこようと出かけたのだ。
篠突く雨が降っていたが、山の神が買い物に出るというので車に便乗させてもらって理髪店近くで降ろしてもらった。
家を出て車に乗る時、そして車から降りて傘をさすほんのわずかな時間でさえ上半身がびしょ濡れになるほどの悪天候にわざわざ出かけたのは、こんな悪天候の時に散髪に来る客はいないだろうと思ったからである。
ほかに客が居なければ、それだけ感染リスクは低減する。
悪くない考えではないか。
ところが……
「誠に勝手ながら、午後から『臨時閉店』させていただきます」
閉じられたシャッターにマジックペンで走り書きしたような「お詫び」がガムテープで無造作に張られている。
遠目で包帯の白と動脈静脈の赤青の3色帯の回転マークが動いていないのは気付いていたが、まさか午後のみ閉店とは。
直ぐ近くのコメダの広い駐車場が満杯なのを見て寄るのはやめにしてトボトボと雨の中を引き返したのだった。
車の通る道路は水しぶきを掛けられるのが嫌で、少し遠回りだが山裾に沿った未舗装の細道を戻ったのだが、ここはまるで川!
周囲にしみ込めず、側溝からもあふれ出した水が奔流のように流れていく。
靴は水がしみてくるし、肩や腕、背中、ズボンの裾はずぶ濡れ。
そんな状態で歩くこと10数分…
家に着く間際になって雨は突然小止みになった。
わが家のドアにカギを差し込みながら、そうか、役場支所2階の図書室で雨が小降りになるのを待つという手があったのに、なぜ気が付かなかったのだろうと思っても後の祭り。
何とも間の抜けた話である。
こういうのをモーロクしたって言うんだろうな。
(見出し写真は藤沢・片瀬の常立寺で見かけた花 ホトトギスの仲間のようだ)