晴れの予報だったのに夜明け前から曇り空が続いていたし、地面が濡れていたから雨まで降ったらしい。
天気予報はまた外れたと思っていたら、日が高く上るにつれて晴れ渡った秋の空が広がっていった。
はっきり言って、夏を駆逐した秋ってのは大嫌いの部類に入るのだが、「晴れ」と言うのはどの季節であっても気持ちいい。
ウイークデーの湘南海岸自転車道は人影もまばらである。
この波打ち際の道を風を切り裂きながら突っ走るのは気持ちがいいものだが、昨日は砂浜に寝転んで秋の日差しを浴びながらぼんやりと海と空を眺めていた。
ふと気が付くと、ボクからほんの4~5mほどの斜め後ろの至近距離に若い男がやって来てもぞもぞとビニールシートのようなものを敷いて座ろうとしている。
なんだよ、こんなにだだっ広い海岸なんだから、もっと離れたところがいくらでもあるだろうに…
薄汚れたような白のYシャツに灰色のGパンのようなものを履いたダサい格好である。
顔や服装で判断はしないが、顔を含めてこの界隈ですれ違う湘南ボーイたちとは明らかに違っている。
おまけにわざわざ敷いたシートの上で女性がするように膝をそろえて横座りに身体を傾けたような格好で座り、こちらを気にしている様子である。
気持ちの悪い野郎だ。
この界隈のパトロールを始めてもうずいぶんの年月が経つが、こんなことは初めてである。
ボクの前方50~60mの波打ち際にはキス釣りの太公望が一人竿を出している。
右手60~70mには海水パンツ一丁の若者が寝そべって体を焼いている。
海の中には数人のサーファーが波と戯れている。
100m位離れた場所では海浜植物の苗のようなものを持参して一心不乱に砂浜に植えている奇特な人(この人は時々見かける)がいる。
広々した海辺で、それぞれが適当な距離を保ちながら楽しんでいる。
それが、この界隈の日常なのだ。
君子危うきに近寄らず。
近寄ってきたのはあっちだが、危険を感じたら逃げるが勝ち。こちらから離れる方が手っ取り早い。
その場をそそくさと去る。
まったくヤレヤレだ。
浜辺でゆっくり寝そべってもいられないとは…
午後は3か月ぶりの散髪に行く。
昨日、空いているだろうと大雨をついて出掛けたのに、「臨時閉店」の張り紙一枚で追い返されてひどい目に遭った理髪店は混みあっていた。
待たされる間、髪を切ってもらっている客と店員の会話が聞こえた。
「昨日来たんだよ、店閉まってたよ」
「すいません。午前中お客さんが一人だけで、午後から雨がひどくなって来たんで…」
ケシカラン話だが、ボクを担当してくれた紅一点が腕の良い人で、しかもとても愛想がよく、気持ちよく刈ってもらえたので許す。
もちろん、仕上がりにも満足して軽い足取りで店を出る。
まるで夏が戻ったような陽気の中、傾きかけた日差しを浴び、頭を垂れ始めた稲穂を眺めながら田んぼの脇の道を帰った。
初冠雪を確認した7日以降、富士山は姿を見せないままだ
画面奥に見えている雲の連なりが右から左に下ってきて、一番低くなった辺りの雲の切れ間に、目を凝らすと薄らと富士山の頂付近と思われる影が…
=辻堂海岸から
気温は上がったが、風がほとんどなく、海は穏やかそのもの 背景の陸地は葉山から先の三浦半島=江の島防波堤から
北の空は雲がやや多め=江の島防波堤から片瀬東浜を見る