最大の目的は年間パスポート更新だが、晩飯は久しぶりに竹串に刺して焼いた鳥の肉と命の水にしようということにしたので、夕方出かけるのがベストなのである。
水族館では季節限定で夜のショーもやっているので、ついでに偵察してみようということでもある。
家を出てしばらくすると所々に青空が見えて、何日ぶりの太陽だろうか薄っすらと日が差してきた。
はるか南の海上で台風5号が行き場がないかのようにウロウロしているそうだが、まだ土用波は届かず、海はベタ~ツと凪いでいて水面には全くと言ってよいほど動きがない。
曇っていたので日中の温度は30度には達しなかった。それでも歩いていると汗ばんできたから、太陽がちらっと顔を見せた夕方の方が日中よりも温度が上がったのではないか。
風は微風。気が付くと浜辺に面した水族館のバルコニーの上空を沢山の赤とんぼが哨戒飛行をしている。
4~50匹は飛んでいそうである。
昆虫網を一振りすると1度に何匹も捕れそうだ。
♪ 赤とんぼ 羽を取ったら とんがらし という歌詞を思い出す。
水族館は閉館時間を延長して、ナイト・ワンダー・アクアリウムとかなんとか名前を付けて客を呼び込んでいる。
どんなものかちょっとだけ期待したが、展示水槽の周囲の壁に古い言葉で言えば幻灯機を使って音楽とともに映像を投射しているだけ。
あんな程度なら昼間ゆっくり水槽の中の魚を見ている方がよっぽど楽しい。
羊頭狗肉だぜ、あれは。
18:15からは外のプールでイルカショーがあるというので、日没直前の太陽の光が差し込むプールへ行ってみたが、これもウ~ム! ってところでしたな。
ショーが終わりボクが席から立ち上がったのが18:24。この間正味は7~8分間にすぎない。
もしや今話題の「高プロ」と関係あるんじゃないか?
労働基準法で1日8時間を超えて働かせる場合、雇用者は働き手に残業代を支払うことが決まっているが、政府が秋の臨時国会に提案しようとしているのが、年収1075円以上の専門的な職種について、支払い対象から外すという改正案なのだ。
名付けて「高度プロフェッショナル制度」。略して高プロである。
イルカくんたちの場合はまさに高度プロフェッショナル。
しかも複雑なことには、人間を除いた動物はハメハメハ大王の奥方と一緒で、日の出と一緒に起きて日の入りとともに寝るんである。
そういう〝おねんね〟の時間にかけて働かせるということになると残業代問題以外にも虐待の疑いも掛けられかねない。
欧米の動物保護団体は日本に目をつけて監視しているから、注意が必要なのだ。
お客も呼びたいけれど……ってところで、おっかなびっくりなんだろう。
だから中途半端。
〝イルカ頭鰯肉〟ってところである。イワシはイワシでおいしいけどね。
ということで、この日は駆け足。さっさと鳥の竹串焼き屋に向かったのでした。
パスポートを更新したのだから、暑さがぶり返したら夕涼みを兼ねてゆっくり見に来ればいいのだ。
〝〇頭△肉〟じゃない水槽を覗いて回ればいいんである。
哨戒飛行中の赤とんぼ
「高プロ」問題と虐待のはざまで悩む? えのすいのイルカ
陽が沈みかけると街では赤ちょうちんが灯るのは世の習い
1滴の気付け薬と1本の竹串があれば…
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