わが俳句結社が28日に予定していた句会を無期延期にせざるを得なかったのはコロナが再び鎌首をもたげつつある中ではやむを得ない判断だったと思っている。
他所の句会の進め方・やり方に精通しているわけではないが、ボクらの句会の進め方はかなり個性的で、アルコールを流し込みつつ、簡単な食事をとりつつ2時間から長い時は3時間もかけて「ああでもない」「こうでもない」と互いの句を批評し合うものだから、大袈裟に言えば「口角泡を飛ばす」状態になるのである。
早い話が飲み会と句会が合わさったような集まりなのだ。
だから同人10人ほどが狭い空間で長時間、口から泡の飛ばしっこをするようなもので、感染症の専門家たちが聞いたら卒倒しかねない状況が出現するということになる。
勿論、興奮なんてしやしないのだけれど、おちょぼ口で押し黙って会食するのとはわけが違う。
そういう訳なので、賢明なロージンたちは「感染しちまったら一巻のお終い」と渋々であっても判断を受け入れるのである。
でも、そうなるとこの先、いつになったら開催できるんだ…何とか他の方法で開けないのか…
オンライン句会という手はある。
Zoomなどと言う格好のツールもあるらしい。
ただ、メンバーの中にガラケーだけが外界との連絡・通信手段だという〝石器時代人〟がいて、「いくら何でも仲間外れにして切り捨てるってわけにはいかないだろう」ということでお蔵にしまい込んで別の道を探っていたところだった。
たまたま連絡する用事があって石器人に電話を掛けたら「スマホに代えたんだ」と威張っている。
ナヌ ?! 何でそれを早く言わないんだ ! こっちの苦労も知らないで…
指導教官になってくれそうな人まで現れ、これで一件落着してくれそうだな…と喜んだのだった。
ところが石器人、「どうも通話中に切れちゃったりするんで店に持って行って調べてもらう」といったまま、音信が途絶えてしまった。
ショートメールを送っても返事無し。
何度も電話してもコール音はするのだが「おかけになった番号をお呼びしていますがお出になりません」でプッツン。
ボクの方こそプッツンしそう。
すると昨日、石器人から電話がかかってきて「メールは見た。電話もかかってきたのを知っている。でもメールの返信の仕方も電話の出方も分からない」と信じられないことを口にする。
「最初のスマホは欠陥品で機種を変えたんだ」とのたまう。
新しいから、それで返信の仕方も電話の出方も分からないんだと。
顎が外れそうになった。
手に持ってるのは電話だろ ? 電話の出方も聞かないで受け取ってきたのかい…!
75歳だか6歳だかになる、まぁ世間的に言えば他に表現のしようがないくらいのジジイである。
元居酒屋のオヤジで、現役時代のボクは新入社員のころからその店に通っていた。
そういうジジイでも電脳脳の持ち主は世間にいくらでもいる。
電脳脳がなくたってスマホを使いこなしているジジイやババアは山ほどいるだろう。
しかし、スマホを手にしていながら「出方が分からない」とのたまうジジイも珍しい。
そういうジジイはそもそもスマホなんて持たないものなのだ。
石器人の頭脳構造は特別に出来ているらしい。
オンライン句会は開けるんだろうか。
何やら暗雲が垂れ込めてきているような…前途の波はかなり高いのではあるまいか…
散歩道の途中、かつて家が建っていたところが草むらになっていて、そこに真っ赤なグラジオラスが1本だけ咲いている…