だから当該の日になると妻はワインの空き瓶を7本、回収場所に出すことになるのだが、「毎回毎回1度に7本も出すお宅なんてないわよ、私恥ずかしいわ」といつも愚痴るんである。
何をぶつぶつ川端柳…と受け流しているのだが、自分だって食事をしながら「おいしいわね」と顔をほころばせてグラスを口に運んでいるのだ。
もうずいぶん前から晩酌時の酒はワインになった。それもよほどのことがない限り赤ワインである。
しかもブドウの種類もカベルネソーヴィニョン種がお気に入りなのである。
ワインの前はいったい何を飲んでいただろうかと振り返ってみたが、トンと思い出せない。
それもそのはずで、現役時代は毎晩のように酒席が準備されていて、否が応でもそこに出なければならなかったのである。
しかも、そういう酒席がなければ勝手に作って飲み歩いていたので、家で夕食をとることは稀なことだったのだ。
ワインに傾いた理由はそれなりにあって、まずはポリフェノールがたくさん含まれていることだった。
つまり「フランス、ベルギー、スイスに住む人々は他の西欧諸国の人々よりもチーズやバターなどの乳製品や肉や、フォアグラなどの動物性脂肪を大量に摂取しているにも関わらず、心臓病の死亡率が低いのは赤ワインを日常的に飲んでいるからだ」という説をフランスの学者が打ち立て「人間をはじめとする動物が赤ワインに含まれるポリフェノールを摂取すると動脈硬化や脳こうそくを防ぐ抗酸化作用、ホルモン促進が向上する」と発表したものを読んだのがきっかけである。
フレンチパラドクスってやつである。
ボクはこういうありがたそうな指摘や見解に対して、あまり懐疑的な目を向けない質の人間なんである。
へぇ~そうなの、じゃ試してみようかな、とすんなり思えるのだ。
でも、大概は1度きりのお試しで終わってしまう。そういう時は、さしてありがた味を感じないからでもある。
しかるにフレンチパラドクスの場合は何となく説得力がありそうじゃないの、と感じたんである。
飲みながら健康維持ができる…、かもしれない。そんな都合の良いことが…と思いつつ、鰯の頭も信心からという訳なんである。
おまけに妻がフランスびいきで「そうなのね、きっとそうよ。見習わなくっちゃ!」と積極的な賛意を示したことも大きい。
世の中ってのはこうして単純な動機で動くものなんですな。
とはいっても、しがないサラリーマンである。
毎晩毎晩、1本ウン千円もするワインを空に出来るわけがない。
特にリタイアしてからはほとんど毎晩家で夕食を食べるから、その都度、潤滑油が必要になってくるわけで、妻も付き合ってくれるので、当然のこととして1本が軽く空っぽになってしまうのだ。
妻は厳しい!
1000円のワインでも毎晩なんてとんでもない。高すぎます! 1本500円以下にしてくださいネ、と信じられない宣言をされてしまった。
でも、そこは捨てる神あれば拾う神ありで、地球の反対側の南米チリで生産されるカベルネソーヴィニョン種の赤ワインは何と1本300円台で手に入ることが分かったのだ。
まずければ相手にしないが、今やわが家の愛飲ワインのナンバー1なのである。
チリ産ワインが手ごろな価格で買えるのには訳があって、チリとの間の経済連携協定(EPA)によって関税が低く抑えられているためである。しかも2019年にはゼロになることも決まっている。
そういうところに持ってきて日本とEUとの間で行われているEPA交渉の結果、EU産ワインの関税の即時撤廃が現実のものになりそうである。
おフランスのワインもイタ公のワインもスペイン野郎のワインもみんな関税なしで輸入されるようになるのだ。
タ・ノ・シ・ミ
だけど、つんと澄ましてお高くとまっているようなら相手にしてやらないからな。そこんとこ、よぉっく覚えておいた方がいいよ!
わが家の「流鏑馬」が初めて2番花を咲かせた。何せこの品種は1本の茎に1つの花しか付けないのだ。2つの1番花が終わった後に、株元から枝がぐんぐん伸びてきて、てっぺんに蕾をつけていたんである。花自体の大きさは一回り小振りになり、香りもほとんどなかったのが残念だが、そういうものなのだ2番花は。咲いたことそのものを良しとするのだ。
横浜イングリッシュガーデンのアジサイ
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