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平方録

二合会余聞

わが俳句結社「二合会」は名前が示すように酒に因んだ命名である。

つまり、「今は単に仕事の疲れを癒したり、面白くないことがあったりすればがぶ飲みして憂さを晴らしているが、いつまでもそんな牛や馬みたいな飲み方喰い方なんぞしていられないぞ」「リタイアした後も何となく集まって酒を酌み交わすにしても、ただ飲むだけでは能がない。どうせ、同病相憐れむ…ような情けない話題しかなくなるに決まっている。そんな飲み方なんか美味しくもなんともないぞ。どうだ、ひとつここは杯を手に余興に文学的な遊びでも加えつつ、互いの作品の出来具合を評価し合うってのはどうだ」ということで、「手っ取り早いのは俳句だな。俳諧というユーモアの世界に浸らん」とかなんとか異業種仲間に声を掛けたら、「面白そうじゃん♪」と集まってきた連中が「じゃぁ飲む酒の量も適量の二合程度の方が洒脱ってもんだな」などと理屈にならないことを言いつつ、結社の名前も「『二合会』がふさわしい、『二合会』にすべし」となってしまい、宗匠に頼んだ人を「エラそうな態度が気に喰わねぇ」と2度も首にしつつ、20有余年の歳月が流れた。

この間、二合の酒で済むわけがなく、なんだかんだ理屈をつけてはオキテ破りが横行し、ついには「日本酒でもウイスキーでも焼酎でも酒の品種ごとに二合まで!」とタガが緩むどころか、伸縮自在のタガになってしまい、実際、終わってみれば酒瓶ゴロゴロというのが日常風景でもあった。

かくして同人一同、肩をそびやかし、肩で風を切って世の中を闊歩してきたのだが、いつのころからか白髪が目立つようになり、第一線も退いて昼間っから堂々と飲めるようになった今、一種類、それも二合あれば十分…と結成当時の能書き通りになって来つつあるのは、時の流れが映し出す現実である。

そして昨日の初句会の後、誰が言い出すというわけでもなく、自然と足が向いた行きつけの立ち飲み屋ののれんをかき分け、カウンターに寄りかかりつつ、ボクは中ジョッキの「トマトハイ」を1杯飲むだけにした。

合評中に持参した昼食の弁当をつまみにカップ酒を飲んでもいたし、最近は昼酒が良く回るようになってきてしまった。酔っぱらってしまうのである。

晩ごはんに帰れば、どうせまた1杯ということになるのだろうし、千鳥足で家路につくのもためらわれる。

まぁ、よく言えば羽目を外せなくなったということだろうが、何となくへっぴり腰気味のところなど、我ながら「老いたなぁ」と思う。

階前の梧葉すでに秋声…ってところか。

結局、立ちのみ料金はトマトハイが350円、ニンニクの串揚げ2本が250円の締めて600円ナリ。

裸のままの100円玉を4つ、ポケットにジャらつかせ、傾いたお日様と手をつなぎながら家に帰りましたとさ。

 


片瀬漁港白灯台



同赤灯台





昨日の二合会初句会のわが提出句は以下の5句 (兼題は「雑煮」)

九十九里丸ごと海の雑煮かな

能登ズタボロ年の初めのためしとて

正月や火の玉二つ滑走路

さぁ受験十五の春や節分草

節分草小さく耐える寒さかな

 
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