総歩数13333歩。
狙いは的中し、あられもないほどにお山は良く見えた。
まず、高台の公園に上り、そこから地元の人しか知らないような道をたどり、尾根筋の獣道のようなところを伝い歩いて海辺に降りたのである。
この間に4つ5つのビューポイントが点在している。
富士山というものは、思いがけないところで出会ったりすると、びっくりすると同時に、あぁ、やっぱり富士山だな、さすがだな! などと親しみを覚えたりするものだが、今回たどった場所はすべて既知のビューポイントである。
いつも見ている富士山である。しかしそれでも、実際にその流麗な姿を目の当たりにすると、感嘆符付の感慨が沸き起こってくるものである。
だから富士山なのであって、これがほかの山では、なかなかそうはいかないだろう。
和歌山県からも見えるというし、かなり広範囲なところから、様々な表情、シチュエーションの富士山が見えることだろう。
都心から見ると丹沢山塊越しに見ることになる。
ケチをつけるわけではないが、それだと手前に衝立を置いているようなもので、雄大に裳裾を広げたあでやかな姿が隠れてしまうのである。
富士山の上半身しか見えないないということでもあり、正直言ってこれではちょっと物足りない。
横浜辺りまで南下してくると丹沢山塊の衝立は外れるのだ。しかし、市心部辺りや横浜港辺りから眺める富士山はやや距離がある。あくまでも遠景の富士山の域を免れない。
そこで自画自賛になるのが、わが家周辺から見る富士山ということになる。
つまり、大相撲の横綱が土俵入りをしている光景を桟敷席の中ほどで見るようなものなのである。意外に近いのだ。大きく見えるのである。
すなわち中央の横綱・富士山が露払いに箱根連山、太刀持ちに丹沢山塊を従えて仁王立ちしているのである。
その背景に邪魔な点景は1つもなく、手前は真っ青な相模湾が広がって、澄み切った空と海の青さにその姿をくっきりと浮かび上がらせているのであって、土俵入りの舞台としては日本一ではないかと思うのである。
何せ雄大なのである。
太宰治が山梨の三つ峠辺りから眺めて、月見草がなんとかカントカと文章にしているが、あれは手前に湖は見えているのだろうが、孤独な姿なのであって、いかんせん寂しいのだ。
昨日は冬空には珍しく、いつもの北西風ではなくて南西の風が吹いていた。
そのせいか、普段は鏡のような静謐な相模湾が白い波筋を見せていて、それもよいアクセントになっていた。
近所の公園からの富士山
丹沢山塊を従えた遠景
珍しいことに丹沢に積雪が
鎌倉山からの富士山
鎌倉山からの遠景
稲村ケ崎からの富士山
稲村ケ崎からの遠景。江の島の背後の連山は箱根
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