八重桜を届けてくれる方がいて、家の中がパッと明るくなった。
ご自宅の庭で咲き出した一枝をいただいたのだが、今まで堪能してきたヤマザクラやソメイヨシノの一重咲きで薄い色合いの花と違って、こちらはピンクの色も濃いし、八重桜の名のとおり花びらが幾重にも重なっていて豪華である。
家の中という、普通はあり得ないところにいきなり花が咲くのだから、花瓶を置いたところは特別のものになり、心が和らぐのを感じて実に心地がいい。
今日は低気圧が南岸沿いを通過していくため、低気圧に吹き込む冷たい北風が吹き荒れ、寒くて冷たい雨も夕方まで降り続くという予報が出ている。
「寒くて」と「冷たい」と2つも形容詞が重なることが、寒さ嫌いのボクには何ともおぞましい。
日がな1日をコタツ布団のシミになって過ごさなければならなくなりそうである。
昼過ぎにでもなったら八重桜を活けた花瓶をコタツに移動させて、ヌクヌクした状態で静かに花見酒としゃれこもうかと考えている。
体調も一時に比べると少しづつ改善されつつあるようだし、滅入る気持ちを発散させる必要があるというものだ。
考えてみれば、コタツで花見酒って案外イイかもしれない ♪
それにしても…
いただいた花枝を見ながら一つの句を思い出した。
ゆさゆさと桜もてくる月夜哉 鈴木道彦
鈴木道彦という名前はとても現代風だが、実は文化文政期の江戸で盛名をはせたという俳人の作品。
この句を紹介している大岡信の文章を引用すると「春月が照る路上、折りとった桜の枝をゆさゆさかついでくる男に出会ったのだ。花のあまりのうるわしさについ手を出した花盗人だろうか。突飛な月と花の出会い。今日ではとてもほめられない仕業だが、昔は花盗人を風流として許す環境があった。しかしこの句、人物が桜に消されているところがいいのである」。
桜の一枝と一緒に風流もわが家に届けていただいた ♪
玄関のニッチに飾った八重桜(見出し写真はミツバアケビとのコラボ)