日々の移ろい

華岡青洲の妻

華岡 青洲(はなおか せいしゅう)は、江戸時代の外科医。
世界で初めて乳癌の麻酔手術を行った。1800年。

麻酔薬の開発を始め、研究を重ねた結果、
曼陀羅華(まんだらげ)の花(チョウセンアサガオ)、
草鳥頭(そううず・・・トリカブト)を主成分とした
6種類の薬草に麻酔効果があることを発見。
犬や猫など動物実験を重ねて、麻酔薬の完成までこぎつけたが、
人体実験を目前にして行き詰まる。

実母の於継と妻の加恵が実験台になることを申し出て、
数回にわたる人体実験の末、於継の死・加恵の失明という犠牲の上に、
全身麻酔薬「通仙散」を完成。

1804年10月13日、乳がんの全身麻酔手術に成功。
これは、1846年にアメリカで実施されたジエチルエーテルによる麻酔よりも
40年以上前のこと。

有吉佐和子の、「華岡青洲の妻」を図書館で借りて2晩読みふけった。
いぜんNHKでドラマ化もされていた等、耳にはしていた
華岡青洲の功績を、
実母と妻との「嫁姑対立」と云う現代にも通じる問題に絡め、
実母や姉・妻の献身的な協力無くしては成されなかった物として描いてあった。

読み終えて、もし、私がこの立場だったらと置き換え考えたら、
夫に 私にもこの研究のお役に立ちたいと申し出ていたであろう。


日本の医学は江戸時代から、
オランダ医学などに比べ遅れをとっていたのかと思っていたが
とんでもない!先を行っていたことを知り、誇らしく感じたし、
それを支えてきた女性に光を当てたこの小説を執筆された有吉佐和子さんは
もっと素晴しい方だった。

今まで、紀ノ川、恍惚の人、複合汚染、等 読ませてもらったが
有吉佐和子さんは53歳で亡くなっておられた事を知り、
もっともっと書いて欲しかったと残念に思った。
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