早速、愛犬アサコの親友でこの小学校5年生のさっちゃん(仮名)に連絡する。『やぐらの西側を出来るだけ避けなさい。間違っても壇上にあがって踊らない事』すると翌日の昼、オッサンが数人でやぐらをいじっており、傾きは気にならないほどになっていた。やっぱりあんたらも気付いたか(笑)
このやぐらは毎年、校庭に設置されて盆踊りの中心的存在になる。木肌のくすみ方からから考えてどこかに保管しては使ってきたのだろう。もうちょっとちゃんと作っておけば良いのに。中高の母校では体育祭の時に、観客用として段状組み立て椅子をセットしていたが、普段は倉庫に保管していた。
組み上げると、広い運動場の3方を囲む巨大なものだったが、丈夫な材木にジョイントは金具が使用され、大勢の観客が乗っても全く問題なく作られていた。母校にはヒルケル、メルシュという二人の修道士がおられ、金属加工・木工のマイスターでもあったと聞く。もう御両名とも天に召されたが彼らの工具はまだ母校に残されている。
ドイツで驚いたのは工具が豊富なこと。しかもワークショップではそれが共用であり、壁の定位置に並べられていたことだ。僕の居た研究所の試作部門では市販品ですら個人管理だったと記憶する。粘土を削るモデラー達は自分で工具を研いだりしてスペシャル品に変えてゆくから自己管理は当たり前だが、スナップオンの工具そのものまでも個人の工具入れにしまっていた。
従ってこのワークショップで元の位置に返さなかったり、テストが終わるまで拝借しようなどという不精もんはしょっちゅうドイツ人の同僚より文句を言われていた。(全員、日本人だったな)聞けば楽器のR部分を削り出すような特殊工具も普通に売っているらしい。自己流に工具を調整する日本の職人との違いを感じた。
今はもうないのだが、僕らが座った講堂の木製折りたたみ椅子も両マイスターの作品だったそうだ。通常は組み立てる時に、大工が微調整するのだが、この時は組み立てるだけで良く、日本の大工たちが大いに驚いたという話を聞いたことがあった。この腕を持つからドイツではマイスターと言えば尊敬の対象であった。
で、くだんのやぐらであるが、特に事故もなく無事に盆踊りは終了した。台風が来たため、解体まで1日以上あったため、もう一度よく見てみた。真っ直ぐになったと言ったが、よく見るとまだ少し歪みがある。根元を窓枠に重ね、柱を目で追っていくと微妙に先端が窓枠からずれているのが判る。
日本の大工もマイスター制にした方が良いんじゃないのかね??
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