ジョン・ウー監督『ザ・クロッシング』予告編
パート1とパート2、合わせて五時間余。
知っている俳優は、チャン・ツィイー、金城武、長澤まさみなど。
1945年か1949年、日本の敗戦後から、共産党軍と国民党軍の内戦、そして上海あたりからの難民が、豪華客船太平輪に乗船、貨物船と衝突事故を起こし1000人以上が亡くなったという展開である。
作品は、国民党軍の将軍とその妻(韓国の女優ソン・ヘギョンが演じる)の視点、台湾の日本統治時代に日本軍に徴兵される軍医を金城武と、その恋人役は日本人の軍属の娘を長澤まさみの視点、チャン・ツィーイが演じる田舎の豆腐売りの娘で、天の運命で出会った国民党軍の兵士を探し続け、上海で街娼に身を落とす女性と彼女と関わる人たちの視点と、この三通りの視点で、描かれる超大作。
この時代の台湾の様子、上海の様子、国民党軍の様子、共産党軍の様子などが、「はぁ…、こんな感じだったのか」と、思わされた。
国民党軍、つまり蒋介石が指揮する軍は、なんと無策なことかと、驚いてしまうし、共産党軍の連勝がつづくなか、上海はまったく感知せずといったノーテンキぶりにもまざまざと驚く。
当時、上海で、武田泰淳とも会ったことがあると行っていた上海で大学の教授をしていた知り合いから、本は買いたいだけ買えたし、日々の享楽的な雰囲気に在って、日本に引き揚げてきてから、共産党軍の進撃ぶりを知り驚愕したと聴いたことがあったが、まさにその通りだった。
この映画は、制作費が76億円もかかったらしいが、興業は台湾では大成功であったが、中国では、大コケだったという。
そうだろうなぁと思った。
中国共産党を悪くは描いていないのだけれど、どの視点も台湾側の悲哀に重点が置かれていた思う。
それにしても、長澤まさみの描き方がイマイチ。
ちょっと気の毒なぐらい洗練されていないかった。
着物の着付けといい、髪形いい、これはないだろうレベルだった。
金城武のかっこよさは、まったく衰えておらず、だったけれど。
チャン・ツィーイは、『初恋の来た道』を彷彿とする美しさは健在で、それにしても成熟した女優になったなぁと思わされた。