『ソウルの春』を観た。
正直、すっごく疲れた。
韓国の近代史の余りにも、緊迫の波瀾万丈に、気持ちが追いつかないという感じです。
映画で、最後までクーデター軍と対峙した首都ソウル警備司令官イ・テシンには、実在のモデルがいて、チャン・テワン張 泰玩という軍人だそうです。
この人の人生、検索してしまいました。
イ・テシンが、クーデター軍のハナ会組織の面々と電話でガッツリとやり合うシーンは、事実で、その時の録音が保存されているという。
ラストシーンのイ・テシンの姿に、歴史の事実を知っているのにもかかわらず、「撃て、撃つのだ、全斗煥を」と、心がどよめくのです。
それにしても、チョン・ドゥファン全斗煥を演じた役者さんが、まさにイメージ通り過ぎる。
ノ・テウ盧泰愚の役も、本人にそっくりでした。
先日、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が宣布した戒厳令のこともあって、この映画の視聴が100%増とのこと。
この映画『ソウルの春』のタイミングが、合いすぎでした。
チョン・ドゥファン全斗煥の没が2021年ぐらいだから、まぁ、亡くなったから製作できたってこともあるのかと、穿った見方をしてしまいます。
でも、私がこの映画を観ようと思ったきっかけは、先日に観た『1987 ある闘いの真実』と、韓国TVドラマ『恋のスケッチ〜 1988 応答せよ』です。
このドラマの舞台が1988年です。
『1987 ある闘いの真実』の翌年です。
高校生たちが『恋のスケッチ〜 1988 応答せよ』で描写されるような、青春を謳歌できたのかなと、ふと疑問を覚えたのです。
それで、もう一度、観たのです。
すると、監督なのか脚本家なのか、しっかりとその時代性を、チラチラと描いているんですね。
青春純愛ラブコメという乗りのドラマですが、明朗闊達女子ドクソンという主人公の、超面倒臭い姉が、ソウル大生で、学生運動の活動家なのです。
デモの催涙弾のシーン、逮捕されるシーン。
1970年前後の日本を彷彿としましたよ。
逮捕されたお姉さんの釈放のシーンでは、どこかソウル郊外とおぼしき田畑の道に、着の身着のままで放り出されるんですね。
このような釈放の仕方は、当時、実際にあったようです。
世相への皮肉、あるいは裏メッセージ、それらを合わせて圧巻というか、「これは、これは!」という描写もあるんですね。
男子主人公の一人であるジョンファンの兄が6浪もしてしまい、心の整理のためか、お寺へ修業に行くのですが、そこで仏像にひれ伏すチョン・ドゥファン全斗煥に出会ってしまうシーンがあるんですね。
わずか1分ほどの映像です。
実際にチョン・ドゥファン全斗煥は、お寺に身を隠していたことは事実で、そのあたりを、しっかりと描写しているドラマだったのです。
つくづく軍事政権や絶対政権は、厭だと思う。
それにしても、この時、クーデター鎮圧側にいた兵士たちは、その後、どうなったのでしょう。
2・26事件の兵士たちのその後は、戦争の最前線に送られたという。