ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇ 映画『ソウルの春』を観た

『ソウルの春』を観た。
正直、すっごく疲れた。
韓国の近代史の余りにも、緊迫の波瀾万丈に、気持ちが追いつかないという感じです。


映画で、最後までクーデター軍と対峙した首都ソウル警備司令官イ・テシンには、実在のモデルがいて、チャン・テワン張 泰玩という軍人だそうです。
この人の人生、検索してしまいました。

イ・テシンが、クーデター軍のハナ会組織の面々と電話でガッツリとやり合うシーンは、事実で、その時の録音が保存されているという。

ラストシーンのイ・テシンの姿に、歴史の事実を知っているのにもかかわらず、「撃て、撃つのだ、全斗煥を」と、心がどよめくのです。


それにしても、チョン・ドゥファン全斗煥を演じた役者さんが、まさにイメージ通り過ぎる。
ノ・テウ盧泰愚の役も、本人にそっくりでした。



先日、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が宣布した戒厳令のこともあって、この映画の視聴が100%増とのこと。

この映画『ソウルの春』のタイミングが、合いすぎでした。
チョン・ドゥファン全斗煥の没が2021年ぐらいだから、まぁ、亡くなったから製作できたってこともあるのかと、穿った見方をしてしまいます。

でも、私がこの映画を観ようと思ったきっかけは、先日に観た『1987 ある闘いの真実』と、韓国TVドラマ『恋のスケッチ〜 1988 応答せよ』です。


このドラマの舞台が1988年です。
『1987 ある闘いの真実』の翌年です。

高校生たちが『恋のスケッチ〜 1988 応答せよ』で描写されるような、青春を謳歌できたのかなと、ふと疑問を覚えたのです。

それで、もう一度、観たのです。
すると、監督なのか脚本家なのか、しっかりとその時代性を、チラチラと描いているんですね。

青春純愛ラブコメという乗りのドラマですが、明朗闊達女子ドクソンという主人公の、超面倒臭い姉が、ソウル大生で、学生運動の活動家なのです。
デモの催涙弾のシーン、逮捕されるシーン。

1970年前後の日本を彷彿としましたよ。

逮捕されたお姉さんの釈放のシーンでは、どこかソウル郊外とおぼしき田畑の道に、着の身着のままで放り出されるんですね。
このような釈放の仕方は、当時、実際にあったようです。

世相への皮肉、あるいは裏メッセージ、それらを合わせて圧巻というか、「これは、これは!」という描写もあるんですね。

男子主人公の一人であるジョンファンの兄が6浪もしてしまい、心の整理のためか、お寺へ修業に行くのですが、そこで仏像にひれ伏すチョン・ドゥファン全斗煥に出会ってしまうシーンがあるんですね。
わずか1分ほどの映像です。

実際にチョン・ドゥファン全斗煥は、お寺に身を隠していたことは事実で、そのあたりを、しっかりと描写しているドラマだったのです。


つくづく軍事政権や絶対政権は、厭だと思う。


それにしても、この時、クーデター鎮圧側にいた兵士たちは、その後、どうなったのでしょう。

2・26事件の兵士たちのその後は、戦争の最前線に送られたという。















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