ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『アルザスのおばあさん』  プーパ・モントフェ 作 絵  末松氷海子 訳  西村書店

 

アルザスは、ライン河畔のエリアでフランスである。
でも、この絵本の1ページ面で、このアルザスではおばあさんは、オマ(おばあちゃん)とドイツ語で呼ばれていると書かれている。

30年以上前に、この絵本を読んだ時、フランスなのに、なぜおばあちゃんをドイツ語で呼ぶのか、気になった。
絵本で描かれる村の風景も、家々の建築様式もドイツ風なのである。

 

アルザスは、古代、ケルト人が居住し、中世は神聖ローマ・プロイセン帝国領だったのだ。
言語や建築様式だけでは無く、民族的にはゲルマン人である。

国境の町は、どこの国で会っても数奇な運命を辿る。

 

アルザスも例外では無い。

フランスでありながら、ゲルマン人でドイツ語を話す。
前世紀100年の間も、独仏の支配を交互7回ぐらい繰り返してきた。

フランスからは、まるで辺境の蛮族のようにアレマン人(ゲルマン人)と呼ばれ、ドイツからも純粋ゲルマン人とみなされない。
しかし彼らのアイデンティティは、アルザス人として誇りがある。

ナチス占領下においても、強制徴兵に不屈に闘い続けた。

 

 

 

 

 

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