アルザスは、ライン河畔のエリアでフランスである。
でも、この絵本の1ページ面で、このアルザスではおばあさんは、オマ(おばあちゃん)とドイツ語で呼ばれていると書かれている。
30年以上前に、この絵本を読んだ時、フランスなのに、なぜおばあちゃんをドイツ語で呼ぶのか、気になった。
絵本で描かれる村の風景も、家々の建築様式もドイツ風なのである。
アルザスは、古代、ケルト人が居住し、中世は神聖ローマ・プロイセン帝国領だったのだ。
言語や建築様式だけでは無く、民族的にはゲルマン人である。
国境の町は、どこの国で会っても数奇な運命を辿る。
アルザスも例外では無い。
フランスでありながら、ゲルマン人でドイツ語を話す。
前世紀100年の間も、独仏の支配を交互7回ぐらい繰り返してきた。
フランスからは、まるで辺境の蛮族のようにアレマン人(ゲルマン人)と呼ばれ、ドイツからも純粋ゲルマン人とみなされない。
しかし彼らのアイデンティティは、アルザス人として誇りがある。
ナチス占領下においても、強制徴兵に不屈に闘い続けた。