祖父 金田操様
やっとここへ来る事ができました。あなたはフィリピン・ルソン島で37歳の生涯を閉じました。
あなたは、どのような思いで出征したのでしょう。
あなたの長男(私の父)は、あなたの葬儀を15歳で喪主として執り行い、家を継ぎました。
次男は、県外に職を得て家庭を築きました。娘3人も市内に嫁ぎました。
あなたの妻マツエさんは私が1歳の時に、長男、次男、長女もあなたのもとへ逝きました。
あなたは全てご存知かも知れませんね。
あなたは出征して約1年後に戦死されました。ここで迎えた1度きりの正月はどうでしたか。
熱帯のジャングルから昇る月はどうでしたか。
故郷の穏やかな山から昇る月と比べて随分違っていたことでしょう。
あなたの子供、孫、ひ孫も同じ山を見て育ちました。
あなたは空腹だったでしょう。
水が飲みたかったでしょう。
怖かったでしょう。
痛かったでしょう。
帰りたかったでしょう。
無念だったでしょう。
今、あなたのもとへ来ることができました。
あなたの心は既に、故郷にあるのかも知れません。
令和2年2月17日
62歳の孫 金田博美
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