金田博美

「祖父に逢いに行く」フィリピン慰霊巡拝団に参加して
www.amazon.co.jp/dp/4434286900

終わりに・・・

2020-07-02 10:30:02 | Weblog
フィリピン慰霊巡拝から戻り、山や畑で農作業をしている時にふと、父母や祖父母がここで汗を流し、一瞬吹く風に涼を感じ、夕日の中を家路につく姿を思う。亡き父母の使った農具の摩耗による癖、黒板に書いたチョークの文字、ロープの結び目に、その時の父母の姿を思う。もう話せないけれど、もっと話しておけばよかったと悔やむ。
 2カ月にわたり、祖父のフィリピン慰霊巡拝にお付き合いくださり、ありがとうございます。私はこの間ずっとフィリピンの地で旅を続け、また言葉の海を泳いでいるような素敵な経験をさせていただきました。貴重なご縁を頂いた山口新聞社と皆さまに心より感謝申し上げます。
 ではまたどこかで…と、なるところですが、私宛てにフィリピン巡拝の写真も見たいとのご意見を頂きましたので報告会を開催します。

「フィリピン慰霊巡拝に参加して・写真で見る東流西流」と題し、現地で撮った写真、自分の思い、文化の違いによる失敗談、ハプニングなどを報告させていただきます。
 7月5日午前10時から11時半まで下関市勤労福祉会館で開きます。会費500円、定員40人です。申し込みは7月2日までに金田にお願いします。ありがとうございました。

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2020年6月20日山口新聞【東流西流】

2020-07-02 10:19:24 | Weblog
戦死した祖父は、特別な武勲をあげたわけではなく、上位の階級でもない。戦地からの手紙や遺書は残っておらず、骨つぼの中は空だ。だが、戦後75年がたった今、外地で亡くなった多くの戦死者が置かれた状況は同じではないだろうか。
 フィリピン慰霊巡拝に参加を申し込んだのは亡き父宛てに届いた遺族新聞の募集欄に目が留まったからだ。申し込み半年後、参加決定通知を受ける。親父が亡くなり、残った私が祖父の戦争を調べる責務があると感じ、このまま祖父の存在が消えていくのが怖かった。
 戸籍謄本から取り掛かる。市役所で可能な限りさかのぼり出してもらうと、明治20年代の曽祖父の謄本(手書き)までさかのぼれたことに驚く。そして県庁、厚労省、防衛省、靖国神社、遺族会へ問い合わせる。回答はおおむね祖父の戸籍謄本に記載された除籍理由と同じであった。県からは軍歴(写し)と死亡者生死不明者原簿(写し)を取り寄せ、図書館で関係書籍を借り、ネットで必要な書籍を求めた。
 これまで遺影でしか見たことのない祖父を遠くに感じていたが、私に孫が生まれると、遺影の祖父を身近に感じるようになった。そして祖父はどのように戦死したのか、最後に見た景色、最後の思いに、少しでも近づき寄り添えたらと思った。
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