介護の技術・知識のまとめ

研修で学んだこと、職場で経験したことなどをまとめた場所です

意欲を引き出す技法

2021-03-17 17:06:11 | コミュニケーション技術

意欲の低下によって生じる利用者の変化(例)

  • 毎回参加していた行事に姿を見せなくなる
  • 身なりに気を使わなくなる
  • 人との会話が減る
  • 自分でできることを人に頼るようになる

 

意欲の低下を引き起こしている主な原因

  1. 利用者自身の変化
    加齢や病気に伴う身体的・認知的機能の低下などにより、利用者はこれまで当たり前のようにできていたことができなくなり、誰かに依存しなければ生きていけないと感じることによって、自尊心が低下することがある
  2. 利用者を取り巻く環境の変化
    家族の死や入院・入所などによる別居は、これまで培ってきた家族との深い関係を失うとともに、その家族との関係の中で果たしてきた役割の喪失にもつながる
  3. 利用者の家族関係の変化
    身体的・精神的・経済的機能の低下は、これまでの親子や夫婦の力関係を逆転させ、自分の存在意義を感じられなくなることがある

 

意欲を引き出す際の留意点

  • 利用者の感情に共感する
    利用者の感情を利用者の立場で思い描いてみる
  • 利用者の人間関係を活用する
    介護職は利用者に対して、新たな関係の構築や従来の関係の活性化を試す
  • 利用者の自己決定権を尊重する
    自分の生活が誰かにコントロールされているという感覚を取り除きたい
  • 利用者のストレンクスを活かす
    ストレンクスを生活歴などからは悪意、日々の生活で活かせるような環境を作る

質問の技法

2021-03-17 16:48:15 | コミュニケーション技術

質問の具体的な役割

  • 利用者が体験や思いを話すきっかけを作る
  • 利用者の介護に大切な情報を追加する
  • ハッキリと伝わらない話の内容や感情を明確化する
  • 利用者が自分の力を活かし、現状を変える一歩を踏み出すための勇気づけをする

 

質問を用いる前の留意点

  • 効果的な質問をするうえで最も重要な準備は、利用者との信頼関係の形成である
  • 性急で頻回な質問を避け、焦らずに適切な時を見計らって質問を用いる
  • 質問が尋問や詰問であってはならない。質問に答えるかどうかは利用者が決めるということを常に念頭に置いておく
  • 質問をする際には、答えを暗示したり、誘導したりしないようにする

 


納得と同意を得る技法

2021-03-17 16:47:48 | コミュニケーション技術

納得と同意を得る技法

大前提:「説得」ではなく「納得してもらう」!!

 

  • 明確化
    相手の話す内容が具体的でなく、また、まとまりがつかない場合に、「たしかなことかどうか」をうかがう技法。質問の形式を取ることが多いが、基本的共感を踏まえて行うと、尋問になることを避けることができる
  • 焦点化
    利用者が話したい内容に焦点を合わせて受け止め、介護職が自分の中で理解し、まとめたうえで、全体として利用者に戻す(フィードバックする)技法。利用者への共感を持って接することで、ただのまとめ作業にならないようにできる
  • 要約
    会話の内容、それが意図していることの意味、感情や思いなどを総合的にまとめ、利用者に伝える技法。要約の過程で疑問が生じた場合は、率直に尋ねることで信頼関係を促すことができる。語られる話を相手が理解できるように丁寧に細分化し、それぞれの区切りの要点をまとめて戻すことも大切
  • 直面化
    相手が自分の行動や行動がもたらす影響について、今よりも深くとらえられるようなきっかけを設ける技法。

直面化の技法を用いる際に前提となる理解

  1. 深い共感との関係性
    直面化と深い共感は、1枚のコインの裏と表と言ってよいもので、相手への深い理解と思いの通い合いがないところでの直面化は、関係性を破壊し、相手を深く傷つけてしまう
  2. 「徐々に」または「適宜」という判断
    直面化の技法は、相手の自己開示、信頼関係の形成や進展の度合いに合わせて、バランスよく用いる。バランスのない直面化は、相手と率直に向かい合うことを避けている行動として伝わる場合もある
  3. 相手への尊厳
    直面化においては、相手への尊厳の気持ちをしっかりと持ち、かいごしょくとしてのしせいやこうどうの倫理的側面を守ることが求められる

 


第1次共感と第2次共感

2021-03-17 15:44:05 | コミュニケーション技術

共感の技法が持つ2つの要点

  1. 利用者の心とともに身を置き、利用者の内側から見た思い、感じ方および考え方を、情動的かつ知的に理解する
  2. 伝わってきた利用者の内側から見た思いを自分自身の言葉と非言語を通して、利用者に応答として伝える

 

第1次共感

  • 基本的共感とも言われ、相手の話をよく聴き、その話の内容を理解し、話に含まれている思いを受け止め、内容の理解と思いをこちらの言葉に変えて応答する技法
  • その人の感情と、その感情が起こった理由を区別してとらえ、再び「○○(理由)だから、~~(感情)ですね」と理由と感情を一緒にして返答する

第2次共感

  • 深い共感とも言われ、第1次共感よりもさらに一歩進んで、相手が表出していない、心の中に込められた思いを含めて応答する技法
  • 相手が言語的に表現していない内面や思いを深く洞察し、その思いと、その思いが生まれた背景を的確に理解して、相手に伝わりやすいように戻す

傾聴の3段階

2021-03-17 15:35:30 | コミュニケーション技術

傾聴の3段階

  1. 利用者は「語る」
    介護職は「言葉を聞く」
  2. 利用者は「語りながら何らかの感情移入を体験する」
    介護職は「十分に関心を向ける」
  3. 利用者は「語り、沈黙を重ねながらも、聴いてもらっている、理解されていると感じる」
    介護職は「言葉を聴き、十分に関心を向け、利用者の思いを指し示すような感情を体験する」

傾聴という行為を介護職と利用者との関係性の進展と重ね合わせてみると、3つの段階があると捉えることができる。第3段階が最も重要だが、利用者の語ることに自分がどのようにかかわりながら聴いているのか、という点に気付くことも大切である

介護職は利用者の感情と同時に自分の感情も聴き、みずからの感情を二者の関係の進展を促進するための共鳴板のように用いており、この状態を、聞き手自身の直感的な感情体験が重視される「共鳴」と呼ばれている