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素材抜粋- 神谷秀樹 『ニュ-ヨ-ク流 たった5人の「大きな会社」』

2011年01月30日 | 読書
素材抜粋                                 2002/02/17



ニュ-ヨ-ク流 たった5人の「大きな会社」

神谷秀樹『ニュ-ヨ-ク流 たった5人の「大きな会社」』
亜紀書房 2001年6月





 ニユ-ヨ-クを拠点に、大西洋や太平洋を跨ぎ推進している、技術を主体とした投資銀行業務を我々は「グロ-バル・テクノロジ-・ア-ビトラジ-」(技術の国家間裁定取引)と呼んでいる。発明された技術が、発明家自身の所在国に囚われずに、その技術に相応しい事業家の場を求め、国境を越えて移動するようになったのである。

 それでは知的資産を持つ個人と大企業がいれば事足りるのであろうか。もう一つ大事な要素が必要である。それは、知的資産を持つ個人と大企業とをオ-ガナイズするプロデュ-サ-である。

 なぜなら当社は「他人に雇われたくない人」、裏返せば、「自分が自分の雇い主」でありたい人が、気持ち良く働ける場として経営しているからである。

 そこで私が考えたのは、現金で頂戴する手数料は抑制し、その代わりにワラント(株式を一定の価格で購入する権利。従業員のストック・オプションと同様)であるとか、将来ライセンス先が支払ってくれるロイヤリティ-(特許料など)の一部を「出世払い手数料」として頂戴するシステムである。
 ワラントから出てくる利益は資本市場がもたらすものであり、ロイヤリティ-は消費者への売上げから出てくるものである。いずれも「市場」が支払ってくれるものであり、ベンチャ-企業の懐のなけなしの財布から支払って貰うものではない。

 このように規制の改正というのは、常に実態の後追いである。言い換えるならば、市場の改革とは政府が与えてくれるものではなく、自ら生み出すべきものなのである。ウォール街の者は常にそういう気概を持って生きている。

 私は今、大量失業時代を迎える日本で解雇されるサラリ-マンや、定職を持たないフリ-タ-が小さいながらも一国一城の主として自立することを支援する金融、自営業者の日々の資金繰りを手伝える金融、老後の年金づくりなどのサ-ビスを必要とする人々の役に立つ金融など、「需要家起点」の金融サ-ビスの構築を、趣旨に賛同してくれる経営者を見出し、実行に移してみたいと考えている。

 今までの日本の教育サ-ビスは完全に供給者起点で国民に提供されてきた。誰もが文部科学省検定の教科書を使い、同じく同省の指導要領に則って公立・私立にかかわらず画一的な教育がなされた。丸暗記が中心のこのような教育は、全員一緒に並んで田植えをする農民、一緒に行進して鉄砲を撃つ兵隊、ベルトコンベア-の横に一線にならんで自動車を作る工員を、均一に大量生産するのには向いていたのであろう。

 そしてツイン・ピ-クスという丘の上に案内し、サンフランシスコの夜景を楽しんだ後に、彼の家へ向かった。朝が来て、その窓から見たティプロンの景色は、この世のものとは思えない、それは美しいものだった。こんな豊かな環境に住める人がこの地上にいるのだ、と正直感激した。

 「僕にはエゴもあるし、金持ちになりたいという欲もある。僕のエゴとは、我々の経営哲学を貫いた上で、結果大金持ちになることではじめて満たされるもので、経営哲学を曲げて金持ちになってもまったく満たされない。だいたい我々の今日までの成功は小さいながらもこの経営哲学に従って仕事をしてきたから生まれたもので、経営哲学を捨てるということは自殺に等しい。韓国の仕事で言えば、ゴ-ルドマン・サックスもメリル・リンチもみんなサムソンやLGで商売を獲得するのに必死だ。彼らは2000ドルのス-ツを着たMBA(経営学修士号を持った人々)を10人連れてプレゼンテ-ションに来る。それに対して僕が一人で行ってどうして無競争で仕事を貰ってこれるのか。これはここ6年間、当社の経営哲学を宣教師のように語り続けてきたからだ。我々が大手投資銀行のように、長期的な関係作りより目先の取引を起こすことに重きを置き、単にお金儲け走って同じことをするならば、勝ち目はない。我々は戦い方が違う。だから勝てる。我々にとっての最高の武器は我々の経営哲学だ」というのがジェフリ-の弁である。

 日本の投資担当者の多くは、「実績を作るのは自分、損を出すのは自分が転勤した後の誰か」、もしくは「今日の出世の方が10年後に得る評価よりも大事」というサラリ-マン根性丸出しで仕事をしていた。ゴ-ルドマン・サックスなどは、この日本人気質を常に大いに利用して仕事をしている。


 アメリカのマンモス投資銀行は、顧客がどうなろうとも次々に儲かる仕組みを作り上げている。バブルに乗って高値で物件を買い込んだ顧客は必ずそれを吐き出すようになる。すると今度は自己勘定で買うか、または売却の斡旋をする。もし投資が成功していれば、今度はそれを担保に借金を膨らますことを勧める。株価が上がると思えば株をしこたま自己勘定で買い込む。株価が上がり過ぎていると思えば今度は大量に空売りをかける。投資銀行業務で手数料を稼げる顧客からは手数料で稼ぐし、投資銀行業務のない会社については市場での株式の売買で稼ぐ。また一番いい投資の機会は顧客には見せず、自己勘定で買ってしまう。これがマンモス投資銀行を偉大なるマネ-・メ-キング・マシ-ンにしている仕組みである。好況でも不況でも、アドバイザリ-業務か、証券売買業務か自己勘定での投資業務か、どれかが収益を上げるという体制を作っているのである。彼らにとって顧客とは、自己の収益を追求するための素材に過ぎない。

 「自分の信じる投資銀行業務」の本質とは、「顧客と投資銀行家と投資家の利害の一致」である。この目標を達成するための仕組みとして、私の手数料のうち大きな部分を取引を斡旋することで手にするのではなく、斡旋した取引が将来生み出す利益から頂戴する体系を作り出した。現金の手数料を抑制し、斡旋した事業の持分や、将来の売上げまたは利益への参加権という部分を多くした。だから斡旋した事業そのものが所期の目的を達成しないことには、私にも大きな報酬はもたらされないという仕組みだ。

 アメリカという国の特徴を表わすのに、もっとも相応しい形容は「リインベントするための国」ということだと思うが、いつも困るのはこの「リインベント」という言葉をどう日本語に翻訳したらいいかということである。「インベント」とは「発明する」「こしらえる」ということであり、その前にある「リ」とは「再び」という意味である。この二つの言葉が一体となった時、さてどう訳すのかということなのだが、私は「生まれ変わる」とするのが、一番良くニュアンスを表わしているように思う。

(抜粋者がここで使用しているパソコンは米国のヒユ-レッド・パッカ-ド社製で、電源を入れ立ち上げるとデスクトップの画面に、HPのロゴの下「invent」という文字が現れる)

 変化することを拒んだ時に成長は止まる。成長するとは、絶えることなく変化し、誤りを正し、改善する努力をすることである。言い換えるならば、絶えず生まれ変わろうとして行くことである。生まれ変わろうとするエネルギ-は人の内から湧いてくるものであり、他人に強制されるものではない。また回りの環境の変化に、受け身ではなく、能動的に自らの意思をもって対応することである。

 誤りを認め、その誤りを一つ一つ直し、新しい自分に生まれ変わろうと努力を続けることにこそ、活き活きと生きるコツがあり、意味があるように思う。アメリカという国は、そんな考えを持って人生を送ろうとする人々に相応しい国であると感じる。

 ・・・・・・・最終的にやりたい事業の姿はおぼろげながら見え始めている。
 それはもっと教育に参加することと、「非営利目的投資銀行」を設立することである。

 起点はいつも一個人なのである。政府がリ-ダ-シップを取り、上から下りてくる改革などありえないと考えたほうがいい。政府が行う改革とは起こってしまった変化を追認する程度のことである。これはアメリカでも同様である。まず市場で何かが起きてから、政府はそれを承認するのである。違うだろうか。

 日本の景気の低迷など、余りに小さな問題だ。やるべき対策や処方箋はすべて分かっている。ただこの国民たちはなぜかその処方箋を実行しない。そんな国民が世界の進歩の潮流に乗り遅れ、経済的な地位が下落したとしても、それは何の同情にも値しない愚行であったとしか人類史には記録されないであろう。日本の改革など勇気と呼ぶにもおよばない、ほんの少しの覚悟さえすればできるはずだ。アメリカ人がよく言う「ノ-・ペイン、ノ-ゲイン」すなわち痛みなくしては、何にも得ることはできない。極めて単純な原則だ。その覚悟をせずに、たかだかバブルの後遺症に未だ悩んでいるなど、世界からは笑い者にされてしまう。

 それはインタ-ネットがあらゆる産業における財やサ-ビスの供給システム(サプライ・チェ-ン)を、供給者起点のものから、需要家起点のものへと転換し、経済を次のレベルに押し上げるうえで、決定的に重要な役割を果たすからである。私は、供給者起点のサプライ・チェ-ンを「オ-ルド・エコノミ-」、需要家起点のサプライ・チェ-ンを「ニュ-・エコノミ-」と呼ぶのが相応しいのではないかと考えている。

 これまでのインタ-ネット・ビジネスのほとんどはコンテンツ(テレビで言えば番組)を企業が作り、そのコンテンツを消費者に落して行くという形態であった。上記で私が議論しているものは、そのような一方通行ではなく、患者が自らの医療デ-タを蓄積するとか、生徒や先生、両親という需要家が自らネットワ-クを作るとか、すべてコンテンツが需要家側にある需要家起点のモデルである。このように需要家がコンテンツの発信者になるビジネスであれば、需要家は十分お金を払うであろう。インタ-ネット・ビジネスの採算性を伴った成功の鍵はそこにあるように思う。

 我々は彼らを見習い、みな「革命家」になろうではないか。IT革命は政府や企業といった「上」から下ろして来るべきものではなく、日本人一人ひとりが「下」から起こして牽引してゆくべきものだと確信する。

「是々非々の判断、信念を日本の組織の中で表明することは、まだ個人にとって非常に勇気がいることです。少なくとも、現実の日本の組織は、まだそうした議論を許容するだけの度量の広さと、組織構造を持っていないと思います。大組織を単に組織として維持する上で、一番簡単な形態が、官僚組織だからだと思います。自分の意見を持たない、上司の感情だけを忖度することに長けた人たちが経営層を構成する。(後略)」
                         著者の友人・五十嵐 雅博氏

 彼(ジョ-ジ・ソロス)の投資は、物とか会社とかに投資することではなく、変化を起こす可能性のある「人」に投資することを特徴としているが、ロシアや東欧で成功したこの「人に対する投資」が中国では惨めに失敗したという。
 その理由を彼は儒教にあると分析している。

 ジョ-ジによると、儒教の文化圏では、人に何かして上げた場合、そこにできる関係は、「してあげた人」と「してもらった人」の二者の間の閉鎖的なものになるという。・・・・・・・。
これが、ユダヤ教、キリスト教の世界と著しく異なる価値観だという。ユダヤ教、キリスト教の世界では、人に「してもらった親切」は、「してくれた人」に対して返すべきものではなく、誰かにしてあげればいいので、言わば親切の連鎖が起こって行く。すなわちここに「開放社会」が築かれて行く。

 「自分の人生は自分で切り開かないことには、誰も切り開いてはくれないのだよ」

 この授業(ポンゼショセ大学国際経営大学院)に参加するための必読書は、ジェ-ムス・コリンズ、ジェリ-・ポ-ラス共著の『ビジョナリ-・カンパニ-』、レジナ・ヘルツリンガ-著『医療サ-ビス市場の勝者』、そしてレスタ-・サロ-著『資本主義の未来』(本の名は翻訳版のタイトルである)の三冊である。

 このアクション・プランというのを、私はとても大事に考えている。もし何かを学んでも、ただ学んだだけでは、頭に残るかも知れないが、「腑に落ちない」。学んだことが、どう自分の人生、行動に結びつくのかを考えて、初めて学んだことが「腑に落ちる」。私はそんな風に考えている。

 教師を怠けさせないためには、学生が教師を評価するというのは極めて重要だ。

 日本からもたくさんの技術が生まれ、そして世界に普及しない理由がない。若い読者には特に強調したい。「グッド・アイデア」を考えてください。あなたが考えたアイデアが本当にいいものなら、世界はあなたを手放さない。

次にビジネス・モデルを綿密に研究した。彼ら(MarketPlayer.com)は消費者に対してどの株を選ぶのかという「選択肢」(「チョイス・ボ-ド」という)を提供するだけでなく、その選択肢の中から自分の希望に合致するものを見つけ出す方法(「ナビケ-タ機能」という)も教える。参加者それぞれが投資方針を築き、かつ運用成績を競う「投資ゲ-ム」を行うことにより、自身の運用技術の巧拙を測る機会が提供されるのだ。かつそれは「ゲ-ム」形式をとっており、楽しみながら勉強できる。

 よく話を聞いてみると、立派な技術者は日本にも数多くいる。問題は、それらの技術を企業として育て、商業ベ-スに乗せることのできるマネ-ジメントがいないことの方にある。科学者よりも圧倒的に不足しているのは、これらの技術を商業化できるビジネスマンなのである。

 しかし、日本で今後終身雇用という制度を維持できないことは余りに明白である。

 アメリカと日本の雇用システムの最大の違いは「受け身の人生か」「能動的な人生か」ということにあるように思う。

 一体何に恵まれているのか。それを突き詰めれば、自己実現を図る機会に恵まれているということではないだろうか。その機会を単に受け身で受け止めるのではなく、積極的に活かして生きようとするとき、より豊かな人生を過ごすことができるのではないだろうか。


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【投稿者コメント】
違う戦い方があるということ。

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