【我が家の寒さ対策】
寒くなってきました。
いまのお住まい、お家の中が寒いと感じることはありませんか?
なぜ寒いのでしょう?
ひとが感じる体感温度は「身体の周囲の空気の温度」と「周囲の壁や天井や床などの温度」を足して2で割った温度と言われています。
つまりエアコンでいくら空気の温度をあげたとしても、壁や天井、床が冷えていれば、体感温度は低くなってしまうということです。
具体例でいえば、
外気の温度が0℃の寒い日
エアコンで室温を25℃まで上げたとします。
しかし壁や天井や床の温度が外部の温度と同じように0℃もしくは10℃とした場合、
体感温度は
(25℃+0℃)÷2=12.5℃
もしくは
(25℃+10℃)÷2=17.5℃
ということです。
特に日本はサッシ・窓の断熱性能が大きく関わってきます。
■そこで、まずは現在お住まいのお家が建てられて時期を確認しましょう。
と申しますのもお家が建てられた時期におり壁や天井、床の断熱材の量(厚み)やサッシの断熱性能が違うためです。
住宅に省エネという考えが取り入れられたのはオイルショックの時期と言われています。
1973年の第一次オイルショック、1979年の第二次オイルショックを受けて、
1980年(昭和55年)に初めて省エネ基準ができました。
省エネ基準は意外と最近の基準なのです。
1980年当時の断熱材の厚みは種類にもよりますが、一般的に使われているグラスウールという断熱材で天井は35㎜程度、壁は25㎜程度と言われています。
私もリフォームの相談を受けて、1980年代前後の建物の壁や天井の中を見る機会がありますが35㎜程度の断熱材が入っていれば、という印象です。
それ以前の住宅にも断熱材が入っている建物もありますがその断熱材の厚みは同程度もしくは無断熱(断熱材が入っていない)の建物と言えます。
その後、
1992年(平成4年)に省エネ基準が改定されました。
新省エネ基準と言われていますが、それでも断熱材は、一般的なグラスウールの厚みで天井は50㎜程度、壁は35㎜程度です。
1998年(平成11年)に再度、省エネ基準が改定され、その基準は次世代省エネ基準と言われています。この時点でようやく、天井155㎜、壁85㎜程度となりました。
その後、2013年(平成25年)、2016年(平成28年)と断熱材だけではく、日射遮蔽性やエネルギー消費量という考え方も加わりました。
まずは、みなさんがお住まいのお家が何年に建てられた建物か、により、断熱材の量がどの程度かの目安としてください。
壁、天井、床に断熱材が入っていない、もしくは薄いということは外部の冷たさが室内に入ってきやすいということです。
これは単純に、真冬にダウンコートで出かけるか、ジャケットで出かけるか、Tシャツ1枚で出かけるか、の違いと言えば、イメージしやすいと思います。
それともう一つ、大切なことは「窓」です。
お家の中の熱が逃げる(冷たさが入り込む)場所は窓が大きいと言われています。
断熱材の量や種類によって違いますので、これもあくまでイメージでとらえていただきたいのですが、「窓」は壁や天井よりも6倍も熱が逃げると言われています。
※最近の建物でも3倍程度というデータもあります。
つまり壁や天井よりも「窓」から熱が逃げる量が大きいということです。
ですので、まずは断熱改修で壁や天井、床に断熱材を充填することが大切、そして、窓廻りはできれば窓ガラスをペアガラスや断熱ガラスにかえるもしくは内窓や障子をつけて、二重にすることが、暑さ・寒さ対策にはとても大切となってきます。
マンションの場合は、お住まいのマンションが上の階、下の階、両隣が居室で囲まれているか、いないか、が意外と関係してきます。
と申しますのも、上、下、両隣が居室であれば、外部とは直接接しておりませんのであまり外気温の影響がないからです。
その場合は、ベランダ側と玄関側からの冷気の侵入を考えれば対応できることになります。
ほとんどのマンションはコンクリートの内側に断熱材が張られた内断熱となっています。
しかしその内断熱を取り除いて、もっと厚い断熱材にとりかえることはできません。
なぜかと申しますと、マンションの場合は区分所有という考え方があります。分譲マンションとして購入したとしても、断熱材やコンクリートの躯体、ベランダやサッシなどはあくまで共有部分であり、所有者が改修することはできない規則となっています。
ですので、基本的には、マンションの寒さ対策の場合は、窓に内窓をつけるなどの寒さ対策が現実的となります。
玄関と居室との間に間仕切りをつけることも有効でしょう。
ひと・すまい・くらし一級建築士事務所
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