大手広告代理店の

前々から会社に居づらいとは聞いていたが、まさかここまでだとは思わなかった。
元々マイペースで仕事のできる早雪。
女子のグループに入らず、仕事に専康泰 澳門念していた。それなのに、社外の家柄の良い適齢期の男性とスピード婚。ちゃっかりしてると評されるようになった。
結婚相手は出版社のお得意様でもある、大手広告代理店の重役の息子で、早雪本人は東雨宮の遠縁。
もちろん、上層部からも大切にされていた。
働く必要もないのに寿退社せず、産休、育休を２回もとり、復帰。子どもは２歳差の一姫二太郎。
全てが順調だっただろう。
あの事件が起こるまでは。
事件のせいだけじゃないんです、きっと。私がもっと周りに好かれてたら、庇って同情してくれる人もいたはずでしょ？半分は自業自得なんですよ。」
冷静に、客観的に自分を見ている様子がさらに悲しかった。
貴彰は痛々しそうに早雪を見つめていたが、視線を逸らしてベンチに座り込む。
ちょっと頭を冷やしてから帰ります。先に行ってください」
早雪はチラッと腕時計に目をやり、すぐに鞄を肩にかけ直した。
……私、会社に戻りますね。明日にはもう鮎川村搬屋 に戻るし、やること山積みなんです。…またシェアハウスで。…お疲れさまでした。」
何事もなかったかのように笑う早雪を見て、貴彰はただ頷くことしかできなかった。
貴彰は公園のベンチに座ったまま早雪を見送った。
大切なビジネスパートナーであり、シェアメイトになんてことをしてしまったんだと後悔したのだった。

はい、鮎川村診療所です」
『俺。先週は世話になったな』
敦さん！いや、こちらこそ楽しかったよ。どうだい復帰後は？」
『なかなか忙しいぜ？葉月に話したらめっちゃ怒ってさ…。丸１日口きいてくれなかった…』
あはは。敦さんはいつも言うのが遅いんだよ。なんでも一人で決断しないで相談しないとな…」
『…そういうもん？』
女性はそうしないと安心できないのさ。女心が分からないんだな、相変わらず」
『………』
少し勝ち循環貸款 誇った気分で言うと、電話の向こうの敦が押し黙るのを感じて、栄太は笑う。