変わり献上/バニラの出来るまで
織物は経糸(たていと)緯糸(よこいと)を様々に組み合わせて織り上げます。博多織は経糸で柄を織り出すのが大きな特色。そのため整経(せいけい)という、ひと幅に6000〰8000本の経糸を整える作業と織は特に重要です。今回は「追加」ですから①意匠・デザインはカットし、前回の制作データをもとに「②糸染め」から。博多織では経糸緯糸を指定の色に染めるための精錬、染色は専門の染屋さんに出しますが、それ以外の工程はすべて自社内で一貫して行います。「③糸繰り」。経糸緯糸ともに糸束の状態で染色されたものを、均一で長い織り糸にするための工程が、「糸繰り」です。「④整経」。7000から8000本の経糸を使い柄を織り出す博多織は、この経糸を揃える「整経」が何より大事な作業です。設計図を見ながら、細い経糸を筬(おさ)に通し、ドラムに巻き付けます。今回は20本を制作しますので、予備も考慮し、ドラムに巻き付けられる経糸の長さは約1キロの長さになります。「⑤仕掛け」は機に糸をかけるセッティング。「⑥製織」。織り出すと一日4本が織り上がります。そうなるとドラムに巻き付けた経糸が日々少なくなってきますので、織り子は湿気と共に、糸が切れたりしないように、経糸を一定のテンションに保つために常におもりの具合をこまめに調整しています。テンションを上手く調整できないと経糸の状態が一定でないため、テンションの強弱により織物の表面がうねり、シワやムラが出来、不上がりな帯が出来てしまいます。そのため西村織物では1人が2台の織機を担当し、手間暇をかけ「誠実是最上」の帯作りに徹しています。⑦仕上げ、⑧検品。そして様々な人の手を経て作られてきた最後の工程が、「仕上げ」、織り上がった帯の検査です。「博多の中でも当社が一番厳しいと思います」という言葉通り、長さ、重量、帯の汚れや織り上がりの状態など、きめ細かくチェックされ,検査に合格した物だけが「献上博多」の品質証書と西村織物のブランドマークが貼られます。 |