あの頃は我々老夫婦もまだ若かった。今ではジイサンバアサンになったから一からげで老夫婦ですますけれど、実は七歳の年齢差があるのだ。
片やミニサイズのわらべ顔、こなたは額の広いおじさん面、長男を産み育てていた頃に家内が近所のおばさんから「後添えさんですか」と言われたというくらいな外観だったらしい。いくら何でもそりゃあ無いよね。
そもそものなれそめは・・・いらんこと言わんでよろしい。とにかく僕ら六人兄弟の末っ子の妹と同い年、弟が妹の同期生と結婚したから、何と昭和9年生れが身内に三人並んだってことなのだ。その方々が揃って古希を迎えた。
何で歳の話になるんだ? いきなり脱線するなよ。
あの頃とは娘の成人式の頃、つまり二十数年前のことをこの時期に思い出したから。
当時家内は和服に凝っていて、ご贔屓の呉服屋があった。女子大に在学中の娘の晴れ着を誂えるのに、その呉服屋のお得意様ご招待会で、はるばる京都まで娘同道で品定めに行ったもんだ。そこで娘が選んだ反物は、会場主任のおば様から「お嬢さん、お目がお高うおす」と褒められたと、これは家内の土産話。
仕立て上がった振袖を着飾った娘の前向き、横向き、それにコート姿の母親が付き添って出て行く後姿まで、ご自慢のカメラに収めてアルバム作った父親もまたかなりの親バカぶりだった。若かったねえ。
ご時世が移って家内の和服熱も去り、その呉服屋も店じまいしてしまった。
若者たちの行状がニュースになる昨今の成人式だが、老人はありし日の思い出をほのぼのと味わっているのである。
片やミニサイズのわらべ顔、こなたは額の広いおじさん面、長男を産み育てていた頃に家内が近所のおばさんから「後添えさんですか」と言われたというくらいな外観だったらしい。いくら何でもそりゃあ無いよね。
そもそものなれそめは・・・いらんこと言わんでよろしい。とにかく僕ら六人兄弟の末っ子の妹と同い年、弟が妹の同期生と結婚したから、何と昭和9年生れが身内に三人並んだってことなのだ。その方々が揃って古希を迎えた。
何で歳の話になるんだ? いきなり脱線するなよ。
あの頃とは娘の成人式の頃、つまり二十数年前のことをこの時期に思い出したから。
当時家内は和服に凝っていて、ご贔屓の呉服屋があった。女子大に在学中の娘の晴れ着を誂えるのに、その呉服屋のお得意様ご招待会で、はるばる京都まで娘同道で品定めに行ったもんだ。そこで娘が選んだ反物は、会場主任のおば様から「お嬢さん、お目がお高うおす」と褒められたと、これは家内の土産話。
仕立て上がった振袖を着飾った娘の前向き、横向き、それにコート姿の母親が付き添って出て行く後姿まで、ご自慢のカメラに収めてアルバム作った父親もまたかなりの親バカぶりだった。若かったねえ。
ご時世が移って家内の和服熱も去り、その呉服屋も店じまいしてしまった。
若者たちの行状がニュースになる昨今の成人式だが、老人はありし日の思い出をほのぼのと味わっているのである。