Takekida's log

千里の道も一歩から

日本の住宅政策の問題点

2009-07-04 21:41:25 | Books
久しぶりに雨から解放された一日。久々のLongRideへ。二の瀬のヒルクライムではサイクリストと競るものの何とか勝利。今日はまだ涼しかったですがこれからの季節はヒルクライムが辛くなりそうです。

金曜日には無事に賞与が支給。引越しなども無く、大きな使用予定は無いので今のところ貯蓄と大会の参加費用に当てるつもり。

住宅政策のどこが問題か (光文社新書)
平山洋介
光文社

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戦前と戦後で住宅事情が大きく変化した所は民間の借家から「持ち家社会」になったということ。戦後の高度成長と共に多くの家庭は借家⇒持ち家、マンション⇒一戸建てという「住まいの梯子」を登ることが標準のライフコースとされてきました。

このコースから外れたものに関しては政府の保護は薄かったというのが事実。
経済成長が止まり、離婚者や未婚者が増加し、ライフスタイルが多様化してきた今は逆にメインストリームから外れるものが多くなっており、住宅政策も再考の必要性がありそう、というのがこの本からのメッセージ。

綿密な調査から本が構成されており、現在の住宅事情の実情を細かに浮き彫りにさせてくれます。

調査から浮き彫りになってきたのは格差の遺伝と狭まる梯子への道です。
持ち家を持つ家からは当然、持ち家をそのまま使えたり少なからずとも不動産としての資産を持っているので自身としても住宅を取得する際の「足がかり」を得やすくなります。また結婚し、独立した世帯を持たない限り住宅政策の恩恵にはあずかれません(ローン等)。よって「梯子」に乗れなかった人、前世代の資産を持たなかった人たちに対しては非情な世の中になってしまっているというのが調査からの指摘です。

筆者は多様な人生の「かたち」を支持するニュートラルな政策と弱者に対する補助の拡充を求めています。具体的には公的な賃貸セクターの拡充、低所得者への家賃補助です。つまり梯子を登らせるため、登らせないまでも生活に対して住居が致命的な問題にならないような施策を求めています。

今までの住宅政策は基本的に経済が成長していくことを前提としたモデルコースを用意したというものでしたがこれからは経済成長に依存しない分派尾が求められています。

今回のサブプライム問題は住宅システムが市場化されていったことが一つの要因でした。日本でも多くの家庭がローンを抱えているわけで同様な危機が起こらないとも言い切れません。昔は持ち家取得というのは資産形成とセキュリティの確保という一面があったのですが資産としての不動産はこれからさらに不安定なものとなりそう。

思えば育った自宅は親の転勤も無く、一軒家であったということもあり、恵まれていたとは思います。自分に関してはまだ横浜に戻る可能性もあり、まだまだ定住ということは無さそうですがどうしていくかはライフスタイル次第ということになりそうです。

日本は住宅ローンの控除ぐらいで基本的に持ち家を持つことに対する税制の優遇というのはありません。住宅にかかった費用(維持費、固定資産税、減価償却費、ローン利子)等を経費として控除できればいいんですが…
これだけ見ると賃貸の方が身軽でいいのかなと思ってしまいます。
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