23年の半導体メーカーの売上高ランキングは市場調査会社だとIntel、NVDIA、Samsungとされていてtsmcの名前は出てこないのですが直接、自社製品として出していないだけでNVDIAやAMD,Appleなどのトップ10に入る企業の内、5社は製造委託されていますし、売上高も並べるとやはり世界一なのは間違いないところ。 日本と同じように半導体の産業が無くライセンス生産や技術を学ぶところから始まったtsmcについて30年取材してきた台湾人の立場から明らかにした本。日本と同じような境遇から世界一となった状況から日本の半導体産業との衰退との対比が印象的に書かれています。
tsmcは受託製造を行うファウンダリーなのでとにかくお客さん第一でお客さんが売上延ばしてもらわないと自身も成長できないという観点からサービス業に近い精神があるのとその強みをお客に持たせるために絶対的に負けない技術を持つというところに徹底して努力してきたことが成功の要因としては大きいように思えます。勝つべき産業に徹底して注力する=選択と集中が非常にうまくいっていることもあるのでしょう。これを支える風土としても半世紀の地政学的な背景もあるのかとにかくモーレツに働くこと。起業精神が高くアメリカのような風土があることなども指摘されています。
ただ作者の指摘しているように日台の関係がデバイスメーカーと装置、材料メーカーといった形で補完関係にあって親近感があるというのは非常に納得のいくものでした。熊本の工場も日本の顧客のためというのもありながら良好なコラボレーションが出来ている例と感じます。この関係はなんか似ているなと思ったのが自転車業界。台湾はGIANTとMERIDAと大きなメーカーを有していている一方で日本では完成車メーカーはかなり少なくなってしまった一方で構成部品はシマノがシェアを握っています。半導体もですが日本では専業メーカーが育たなかったこともあるのかもしれませんがアナロジーを感じました。
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