感染症の世界史 石 弘之 (著)
コロナウイルスが猛威を振るっています。特に世界でここまでの感染症が全国的に問題となったのは1968年の香港風邪以来かもしれませんが振り返れば人類の歴史は感染症の戦いの歴史といっても過言でなく…人類は初期から常に菌と戦ってきたことがわかっています。自分が生きていた中で直近で思いつくだけでもエイズ、デング熱、エボラ出血熱などなど。
今回のコロナウイルスが巧妙だったのは潜伏期間があることや重症化しなかったり発祥しなかったりということが往々にしてあるということでしょう。なったとたんにキューバタンであれば隔離は簡単ですが発症しないもしくは人が移動してしまうというのが一番の危険の源であり裏を返せばウイルスが生き残ろうとする本能を発揮させていることになるのだと思います。 この本はそんな感染症と人類の40億年の歴史を記したもので特に直近で問題になったエイズ、エボラ出血熱に関しては特に章を割いて紹介されてます。
こんな悪者扱いのウイルスですが人間の遺伝子の約半分はウイルスに由来するもので他の生物の遺伝子を混入させて突然変異を起こし、進化の原動力となっていることが知られているそうです。まあ遺伝子操作とか遺伝子治療もウイルスを媒介に遺伝情報を注入しているので自ら利用もしているわけです。さらには胎児に関しても母親にとって異質な父親成分の遺伝物質への母親のリンパ管からの攻撃をウイルスが守っていることが確認されており、もはや人間とは切っては切れない関係にあるといっても過言ではなさそうです。
昔は衛生状態が問題であったものの近年はそんなことはなく比較的ウイルスにとっては生きにくいのかもしれません・・・・がその分人の往来は増え、感染が広がることを抑えにくいことは明白となりつつあります。もはやおさえこんだと思っていた結核や麻疹など歴史が繰り返されていることを考えてもなかなか抑え込むということ自体が難しいことを示しているように思います。最後の章で公衆衛生上の観点から中国とアフリカからの感染症の爆発が予測されており(本書は2018年)さもありなんといったところ。人間の本質にも関わっている以上、根絶ではなく今後も付き合い方を考えていくしかないですが・・・早期にコロナは終結してほしいというのが願いです。
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