Takekida's log

千里の道も一歩から

共振する鏡衆

2015-04-26 02:18:00 | Books
かなり暖かくなってきました。自転車乗りに行くのもそろそろ半袖の出番かというところ。
あなたは、なぜ「自分に似た人」を探すのか――崩壊する「大衆」と台頭する「鏡衆」 (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社


 図書館で見つけたので2008年と少し古めの本です。2007年は東京マラソンが始まった年、そしてビリーズブートキャンプとかも流行りました。そんな時代背景も踏まえ電通での「新大衆プロジェクト」の成果をまとめたものです。ポスト団塊ジュニア層(70年代後半)はいわゆる低成長時代に育った層、確かな価値観や主義信条がないがゆえに自分らしさを求めて「自分探し」をするというのが一つの傾向でした。
ただこの自分探しというのははっきり言って解は無いもの。また日本人は宗教的な価値観でも国民として共有できるものがないため「瞬間的でも情動的でも良いので信条や価値観を共有したつながり」を求める方向に社会がシフトしたというのが筆者の分析。人と価値観を共有するというところの大きなうねりを「共振」、そしてこのような動きに強調しようとする新・大衆を「鏡衆」と名付けています。
 言われてみれば前述の東京マラソンにしろYouTUbeにせよニコニコ動画にせよFaceBook、価格.comにせよ自らが参加して人と共有>共感することに価値を置くというのは昨今のスタンダードであるように思います。家電や車といった耐久消費財を買う場合でもまずは口コミを気にするというのは思い当たる節があります。まあすべての人が当てはまるわけではなく電通の調査では43%ぐらいがこういった層に当たるのではないかという分析です。鏡衆たちの消費行動の特徴としては
・意味づけ、イメージを商品に投影
・友人と共感できる点を見つけて盛り上がるのが好き
・商品を使うシーンを具体的にイメージして買う
・感覚的に引き込まれやすい
・評価がある程度定着したものを使う
・人に影響されやすく評価が定着したものを使う
といった特徴があります。ものを売る側からしてみたら少し手ごわいところはあるかと思いますが良い評判次第では
大きなヒットにつながるだけにこういった流れ=消費連鎖に乗った売り方が必要になるのかと思われます。
こういった共振を興しやすい消費者視点、感情移入の出来る物語をセットで売り込んでいくというのが重要なのでしょう。
あとは使っているひとに製品を好きになってもらい「物語」を共有してもらうというのも一つの手。
これはすでに車や家のサイトなんかでは使用者の声といった形で吸い上げられています。
 震災以降は特につながりというのも社会的なキーワードですが消費のスタイルとしてもこの傾向はしばらくは続くのかなと思います。
自分はまだそういった傾向は少し希薄で独自路線なところもありますがところどころこういった価値観の共有を欲していることに気づきます。適度に付き合っていければと思います。
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