Takekida's log

千里の道も一歩から

戦略独創経営者の道を拓く

2023-12-09 22:31:15 | Books
 

戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く 

三枝 匡 (著)
日本で戦略経営者という道を開拓した三枝さんの自叙伝的な本。自身を黒岩という仮名の人にたとえた小説形式で所々にポイントのカラムは配置されており単なる解説書というよりは実践形式の教科書的なところもあり、勉強になりました。
 ふつうは経営にかかわるのは会社の階段を上りつめて早くとも40代というところなのでしょうが筆者は20代で経営者の世界に飛び込むことを決意してそれを行動に移しています。現代で言えばコンサルタントというのはややそういったものに近いのでしょうが三枝さんが一味違うのは自らが経営者、失敗したら後がない責任者となって様々な会社の経営、再建に携わっているところです。責任を以って携わるか否かは そして常に全力、忖度しない態度などどれをとっても学ぶべきところばかりでした。
 日本は高度経済成長期、バブル期と絶頂を味わったうえで低迷を続けていますが全く反転した状態にあるのがアメリカでした。この入れ替わりの分析では
(1)借入金を活用した成長の絵姿を描く日本経営、(2)トヨタ方式に代表される時間の戦略を米国が分析し、確実に経営論理に生かして行ったことが指摘されています。日本に押されていた中でアメリカは必死に日本に学んで自らの復活を描く伏線を打っていたわけです。結局こればIT革命以降大きな差を生み出すこととなってしまいました。日本では経営手法 これらの根底にあったのは彼らのプロフェッショナル志向と戦略、リスクを重視する姿勢です。いざ先頭に躍り出てみるとお手本が無く逆に横並び意識が自らの行動を律してしまったということがあるのでしょう。追いつき追い越せの場合は集団主義は良いのですが先頭を引っ張るには逆に不利になってしまったというのがありそうです。逆に今はまた戦後のように置いて行かれている状況にあるのでこれまでから学んだことをどう生かして行くか? 出る杭を突き抜けさせるためにどうするか?を考える必要がありそうです。
 また企業再生の経験から立て直すための重要ポイントとして事業戦略と組織問題が挙げられるわけですが経験上からまずは組織の肥大化にメスを入れるべきという持論が記されています。まず戦略ありきではなく組織から単位をコンパクトにして機動性を上げそれらのコンパクトな組織ごとの戦略を立案することが良いのではないかとの指摘あり。よく言われることではありますがまずは人から組織からというのが今までの経験則でも重要であると感じているのでしょう。
 ともあれ非常に面白い本でした。自分を振り返ると入社した時から技術者としての道しか考えておらず20代で経営者を目指す思想が起きませんでした。やはり技術者として何かを完成させることの方が興味があったし情熱を持ててきたと言うのはあります。ここまで歩んできてだんだんと大局を見ていきたいと考えていることもあり、どういったキャリアを考えるべきなのか考えていきたいと思います。

 

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 草木の精 牧野富太郎 | TOP | 隠された記憶の謎 »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | Books