運を味方にする 「偶然」の科学
バーバラ・ブラッチュリー (著), 栗木 さつき (翻訳)
運を信じるというと少し胡散臭さを感じてしまいますがそもそも日本人の初詣習慣なども運を願うという要素はあるので色々なゲン担ぎもまあ五十歩百歩といったものなのでしょう。 この本は「幸運」を高めるにはどうすればよいのかというのを精神論だけでなく真剣に分析したものです。
自分の力ではコントロールできない事象が起こると「運が良い」とか「運が悪い」という風に感じるわけですがこれはそもそも人間のココロが生み出した非確実性からの防御からきているものとの分析。
幸運には神経学者ジェームス・オースティンによれば4つのタイプがあり、偶然と努力の組み合わせで決まるという。①単純に偶然のみ、②努力行動によって機会を増やすことによって得られる幸運、③事前に準備をしておくことによって得られる幸運(パスツールの例のように科学的な発見はこういった例が多い)、④②、③に加えて個人の性格/行動習慣がもたらすものとのことで幸運を高めるというのは②、③、④の確率を少しでも高めることになるのでしょう。
「信じれば救われる」ではないですが自分は運がいいと思うことでランダムネスを恐れず、直観に従ってチャレンジすることを可能にし、不安感を減少させ、脳の実行機能を高めることが研究によって明らかにされてます。こういった観点からはゲン担ぎやお守りというのは効果が高いと言っても良いのでしょう。またこれは弾み車のようなもので幸運だと思うことで困難な状況に直面してもやる気を維持、状況をコントロールする力があると自信を持つことが出来てパフォーマンスが向上するという良い循環が起こることを指摘してます。またいったん成功した人はさらに「自分は運がいい」と思えるので、さらなる成功を呼ぶというわけです。
ということでやはりどんなことが起こってもポジティブに考えることが目標達成の幸運を得るためには重要なことは言うまでもなさそうです。精神論というのはとやかくロジカルでないとか排除されがちですが捨てたものではなくむしろ利用すべきことなのだと思わせてくれた本でした。
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