超訳 ニーチェの言葉 | |
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ディスカヴァー・トゥエンティワン |
文庫版にもなったとのことで改めて読み返してみました。
ニーチェは19世紀の後半のドイツの哲学者ですが少し変わった存在でも知られています。キリスト教をベースとするような神を基にした教えでもなく、カントやヘーゲルのような体系的なものではな生きている人間の道徳「生の道徳」を説いた人です。絶対的価値を否定しているからと言ってニヒリズム(虚無主義)というわけでもなく自説を展開していくわけでもないので哲学者というよりは芸術家なのかもしれません。断片的につづられた文章は力があってある意味、芸術のようにも言えなくはなさそうです。
哲学者でありながら「自分の哲学を持つな」という言葉を残しているというのが面白いところ。自分を画一化するのでなく常に自身の感覚を大事に対話して自身の価値を見出せということなのでしょう。
ニーチェは価値判断を自分のほかに求めざるを得ない人間を不幸としており自己を持って自身の尺度で物事を判断することが需要という意見です。このように自己で判断できるようになった人を「超人」という定義をしています。社会的に同調圧力があったり他人との相対比較で幸不幸が決まったり、他人からの評価で一喜一憂することが多い世の中ですがニーチェの指摘した「超人」になることが出来れば強いのだと思います。
個人的にもどうも宗教にはなじめないのですが共感できる内容でした。
禅の言葉として「吾唯知足」(われ ただ たるを しる)
「欲少知足」(よく すくなくして たるを しる)
というのがあります。満足することをしっているということですがこれはただ節約や我慢をするという禁欲を言っているのでなくいまあるものの中に価値や幸福を見出すということです。欲を我慢するのでなく今もっている物に価値を見出すということ。相対的にでなく絶対的に心の豊かさを得るというのがポイントですが似たようなものなのかと感じています。
ただ自身は雑念が多くこういった領域に到達できていないのは事実で精進が必要かと思っています。
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