Takekida's log

千里の道も一歩から

みんな違ってそれでいい

2019-02-09 21:46:47 | Books
友だち幻想 (ちくまプリマー新書)
クリエーター情報なし
筑摩書房


 人間同士の関係というのは近すぎても遠すぎてもなかなか難しいものがあります。どうしてもそりが合わないとかなんとなく話が合わないとかそれが一方的だったりして自分と相手が思っていることが違うとか考えていくときりがありません。特に小学校前ぐらいから始まる友だちとの関係性というのは子供に大きな影響を及ぼします。そして昔のように直接的な関係性だけではなくSNSを代表とするインターネットでのつながりも同時進行するわけでそういったコミュニケーションツールの普及によって、さらにつながり重視の傾向は強まっていることに生きづらさを感じることも少なくはないはず。過剰なつながりがもたらす息苦しさに目を向け人と人とのつながりの常識を丁寧に問い直した本です。『みんなと仲良くしなければいけない』といったような人間関係の常識を疑う本なわけですが不思議と5月になると売れ行きよくなるそうで人間関係の課題というのは不変なのだと感じさせられます。
 人間関係というのはある意味幸福の追及の一つの形、筆者は幸福を自己充実と他者との交流という2つの側面で原点を見直しておりその2つ目の他者との交流が主題でこれも1、交流そのものの喜びと2、他者からの承認の2つの要素に分かれるとしています。この他者の存在はどこまでも仲良くとも自分とは異質なものであることをどこかに前提として考えておく必要があります。特に狭い共同体では同調圧力がかかるわけですが違和感があっても異質なものと並存、共存できる=やり過ごす技を自分の中で整理しておく必要を指摘。つまりは逆に関係性に依存してしまうと不安から親しさを確認しあうような小さな人間関係に自分を置いてしまい、いつ自分が排除されるかもしれない不安に襲われ続け、さらなる固まった人間関係の中に身を置くという悪循環に陥ってしまうわけです。 関係性を分類するとルール関係、フィーリング共有関係とあるわけですがこの細かいルールの部分は最小限として並存することで白黒で片付けない関係を意識するということが不必要な対立、過剰な依存を避けるというのが非常に重要なポイントとなりそうです。こういった感覚はあまり主体的になりすぎるのでなく自分を俯瞰的に考えられるかということにもあるのかなと思います。子供に対しても常に良い悪い、好き嫌いだけでかたずけるのでなくものの見方を視点、そしてコミュニケーションを分断するようなむかつく、うざいといった言葉を避けることを教えてあげることも一助になるかもしれません。 
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