THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
アダム・グラント (著), 楠木 建 (監修)
アダム・グラント (著), 楠木 建 (監修)
GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 を書いたアダムグラントのこれまた傑作ともいえる本です。人は疑うことの不快感よりも確信することの安心感を好むということから既存の考え方を新たな観点から見つめ直すことがいかに大事であるか =日本語で言えば再考することの重要さを記した本です。
なぜ人間は近視眼になりやすいか自身が予想するものを見ようとする確証バイアスと自分が見たいものだけを見ようとする望ましさバイアスがそもそも根本になるというのが指摘されています。そして思考能力が高いと逆にそのツボにはまりやすい=既成概念をパターン認識してすぐに当てはめてしまうという盲点も。運動能力の高い人はたいてい体の可動域が大きく=柔軟性が高くそれがゆえに能力高いということが言えるのですが頭に関しては柔軟性と思考能力は相反するとのことで脳は認知機能に対しては徹底的に省エネをつらいぬいているみたい。どうしても自分の信念を揺るがすことになると心が閉ざされてしまうということなのでしょう。 この本で紹介されているように意見にぶつかった時に牧師、検察官、政治家の3つのモードで対応しようとすることが指摘されています。それぞれ説教する、間違いを指摘しようとする、自身への支持を取り付けようとするということですがこれらのモードでは全く再考の道は開けません。著者が進めるのは科学者モード。これは比喩であって思考的な枠組み=説教も不正探しも政治活動も行わず科学者のように仮説を検証するための実験(思考含む)をして真実は何なのか考えてみるということだという指摘です。
前者の3モードを行き来すると結局、過信モードにしかならないわけで最高サイクルに乗るには「謙虚さ」が必要だという指摘をしています。つまりは無知や欠点を意識することで「懐疑」のココロを持ち、懐疑心から「好奇心」が生まれ、好奇心を基に知的探索をするうちに発見に出会う。そこで「まだまだ学ぶことはある」と思うことで謙虚さのエンジンに再度火が付くというサイクルです。ただ確信と謙虚さというのはある意味トレードオフ。著者はこれを自分自身の能力に対する確信と目標を達成するための手段について自問する謙虚さという形で分離することを提案してます。そしてさらには自分のアイデンティティと意見を分離するという考え方もなかなか画期的に感じられました。
単なる主張する強さよりも謙虚さに裏付けされた知的柔軟性=しなやかさこそが力だということかと思います。正直言って自分もこういったことが出来ておらず反省するのみ…正に身につまされる内容でした。
GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代のReviewはこっち。
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