JNCラジオ社製ポータブルHFアンテナMC-750の改造とバンド拡大を行ったので記録に残しておく意味も込めて報告します。
3.カメラ用三脚への取り付けアダプター製作
いろんな実験を行うにあたり、狭いベランダ内で設置したり、片付けたりを繰り返していましたがベランダの壁が気になり、三脚の上に取り付けることを考えました。作ったのは、カメラの取り付けに一般的に使われている1/4”-20UNCねじをM10(アンテナのベースにあるねじ)に変換するためのアダプター製作です。
M10は凸ネジが必要ですが旋盤はないのでM10の凹ネジを作り、M10の30mm全ネジを装着しました。飛び出しがあまりに長い印象だったので長ねじを固定する意味も考えてM10のナットを2個入れています。
20mm径のアルミ棒が近所のDIYショップにあったので製作してみました。使用する材料は、
- 20mmDアルミ棒50mmL (20cmの長いものから切り出しました)
- ステンレスM10全ネジ30mmL 1本
- ステンレスM10 ナット 2個
アルミの20mmD丸棒を50mmで切り出し、両端にカメラの三脚に使われているW1/4“のタップとM10のタップで開け、片側にM10 x 30のステンレス長ねじをねじ込んで固定した取り付け用アダプターを加工しました。これにより、一般によく使われているカメラの三脚にMC-750を固定して用いることができました。専用の三脚も買ったのですが高さが低く、三脚の底辺が小さいので少し風があると使えず、またベランダのように手すりのある所では給電部は壁に囲われていてうまくないと感じました。
このアダプターはアースロッドについているアースロッドとアンテナベースを外してアースロッドの代わりに用います。
三脚に取り付けるとこのようになります。
4 80mバンド用コイルの製作とその特性
40mバンドがコイル追加で使用できるのであればという事で80mバンドも冬の季節向けに製作してみました。
MC-750には40mバンド用バンドコイルが付属しており、このコイルの特性から80mバンドのコイルも製作できるのではないかと思い、作業を開始した。
以前出版されていたアンテナハンドブック(p390-393)に詳しい計算法が書いてあったので個の計算法を利用することとしました。アンテナハンドブックには以下のように記載されていました。
エクセル上に上記計算式を入れて計算式が合っているかどうかを確認するために7MHzの計算をしてみました。
MC750
7.1 MHz, λ= 42.25352113 m
D = 15 mm h= 4500 mm
h1= 500 mm h2= 4000 mm
h1/λ = 0.011833333 h2/λ= 0.094666667
Ka= 323.8157793
XL/Ka= 1.403616622
XL= 454.5132102 Ω
H= 10.1884541 μH
検証のために実際の付属のバンドコイルの実測値を図ってみました。100kHzでの計測値は、
H= 10μHだったので、計算値はほぼ信頼できることが確認できましたので、この計算式を基に3.55MHzを目標にしてコイルの設計を行いました。
MC750
3.55 MHz λ= 84.50704225 m
D 15 mm h 5600 mm
h1 500 mm h2 5100
h1/λ 0.005916667 h2/λ 0.06035
Ka= 336.9371314
XL/Ka= 2.4723809
XL= 833.0369282 Ω
H= 37.34702673 μH
これにより製作するコイルのインダクタンスを求めました。
作成したコイル目標値を 37.35 μHとし、コイルの巻き数を検討しました。
ボビン VU50 60 mmOD
巻き数 34 Turn
コイル幅 97 mm
pich 2.8 mm
Wire 2.8 mmOD
H計算値 33.03 完成したコイルの測定値 37.83 μHでした。
コイルのボビンとなる部分をVP50を使い製作することとしました。計算によるとコイル部分の長さは97mm必要です。両端にキャップをかぶせて固定する予定でしたのでVU50 の長さは160mmとしました。
使用した材料は、
- VU50(OD60mm)x 160mm 1本 使い古したものを再利用しました。
- PVC50キャップ 2個
- ビニール被覆0.75sq 7m
- 丸(10D)圧着端子 2個
- M10長ナット50mmL
- M10 全ネジ 50L 2本
- M10ナット 3個
- M4タッピングネジ 2個 (キャップの固定用)
コイルの巻き始めと巻き終わりには、ほとけるのを防止するために折り返しの穴を設け、キャップの内部で取り付け用のM10の長ねじと長ナットに圧着端子で接続しました。(写真参照)
製作したコイルの外観がこれ、両端の取り付け部はM10の長ナットと長ねじを使って組み合わせた。
早速組み立てて、80mバンドでの様子を測定してみました。
実際のエレメントは18MHzのマーカーからさらに2段引き延ばした状態でした。特にラジアルを使用するアンテナにおいては設置場所による影響が非常に大きいので実際の移動場所に近い状態のところで追い込むのはいいと思いこれ以上はベランダでの調整はしませんでした。但し、これでは少し使用しずらいのでATUを使ってみました。
簡易的にシャックにあるキットから自作したATU100 7 x7でチューニングしてみたところ、良好な結果が得られました。移動先でもSWR1.5以下となる運用可能範囲は狭いのでバンド内でも移動するにはATUが頼もしい存在になると思います。
使えそうなので今度のシーズン到来が楽しみです。
以上 2023.Sep. 5
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