本を読む目的
池上彰さんが、中国をどう説明してるか気になり手をとった。
きっかけは漫画。「勇午・台湾編」という巻を読んでいると、「そうだったのか!中国」を参考にしたページがあったため、読んでみることを決意。
質問
中国と台湾の関係性を知りたい。
質問の答え
かなり専門的なことを、わかりやすく書いてる本であった。
毛沢東の話から始まり、ソ連との関係、日中国交正常化、天安門事件から近代に至るまで説明されていた。
私は台湾との関係のところを重点的に読んでみた。私は少なからず台湾という国にお世話になり、恩を感じている国でもある。おおまかでも良いので、台湾を知りたくなった。
読んでみると実に興味深い内容であった。
日清戦争で勝利した日本が、清国から台湾を奪い領土にした。当時の清国は島である台湾を重視しておらず「取られたところで問題ない」という態度だったらしい。
しかしそこは勤労な日本人。台湾のインフラを整備し、鉄道を走らせ、瞬く間に近代化させてしまった。
とはいえ、台湾の人々は日本人に統治されているのをよく思わなかったとのこと。
日本が第二次大戦で降伏し、中国が台湾を再び奪い返した時には台湾の人々は大いに喜んだ。
そこで疑問が沸く。
ならば、なぜ台湾はあれほど親日なのか?
日本はなぜこれほど台湾と仲良くしたいのか?
池上彰さんの説明にその答えがあった。
第二次大戦で日本が降伏した後の中国は、すぐさま内戦に突入。蒋介石の国民党軍と毛沢東の共産党軍が戦い、共産党軍が勝利。国民党軍は台湾に逃れた。
台湾の人々は、本土から正規の軍隊が来て統治してくれるものだとばかり思っていると、敗戦でボロボロの軍隊がやってきて台湾の人々を虐待し始めたという。
台湾には「二・二八和平公園」という公園があるが、「二・二八事件」という事件が発端で作られた。
二・二八事件とは、国民党軍が大陸からやってきて2万8千人以上の台湾人を無差別に殺戮した事件である。
二・二八和平公園は、落ち着いた綺麗な公園だ。
日本統治時代に建てられたNHKの庁舎が博物館として残っており、日本が鉄道を整備したときに走っていたSLが展示されている。 日本統治時代を大切にしているかのようだ。
台湾の人々は、日本が去って中国がやってきたことを「犬が去って豚がやってきた」と言った。
犬はうるさいが番犬にはなるが豚は飯を食らって寝るだけ、という意味らしい。
今は日本を凌ぐ発展をした中国だが、当時はまだ近代化していなかったためであると思われる。
さらに蒋介石は、反乱の芽を摘むために台湾の知識人を大勢処刑した。
この事件は台湾の人々に「日本時代は良かった」と思わせるきっかけになり、台湾が親日国家となるのであった。
蒋介石は当初、台湾にて軍事力を立て直し、大陸の共産党と戦う姿勢を取っていて軍備に資金を費やしていたが、やがてそれが非現実なことと気づき、台湾のインフラ整備に力を注ぐことになった。
当初は大陸の共産党党首、毛沢東も台湾を攻撃する姿勢を取っていた。
しかし1950年6月25日、北朝鮮が38度線を越えて韓国に侵攻した「朝鮮戦争」が勃発。
アメリカ軍が台湾に常駐することにより、中国が台湾を攻撃できなくなったのであった。
結果、1954年に、アメリカが台湾の安全を保障する条約が結ばれたことにより、中国からの攻撃から救われたのであった。
さらに台湾は、政治に関与しなければ経済活動を自由に行えるようになり、アメリカも台湾に援助をしたことにより台湾が経済国家と発展した。
この時の蒋介石の取った政策は、見事であったということだ。
そして第二次大戦後、あまり日本では広められていないが、日本は戦争責任として中国や韓国に多額の戦時賠償を最近まで払い続けていた。
ところが蒋介石はこれを放棄。それが義理人情に篤い日本人を感動させ、日本企業が台湾に進出して台湾経済の手助けをしようという動きが起こった。
その後、大きくなった台湾の企業が中国に進出することになる。
台湾人が中国人を雇うことになったのだ。
また、台湾は徐々に民主化を進めることに成功。総統を総選挙で選出したり、表立って中国からの独立を叫ばなくなったり、派手な政治活動を避けて上手く立ち回ったようである。
はっきりとは書いていなかったが、そう見受けられる文章であった。
国連からは脱退することになったが、台湾という国は結果的に世界に認められるようになったのである。
今は政治ではともかく、経済的には中国とも良好なようである。
現在は日本も台湾ブーム。
これからも良好な関係を続けたいものである。
短い章であったが、そう思わせてくれる章であった。