佐々木議員質問に対する答弁と、佐々木議員の再質問再々質問の質疑を全文テープ起こししました。
中村県知事
「佐々木議員に私の方からはエネルギー政策についてお答えさせていただきたいと思います。
原子力の利用というものは資源のない我が国、そして四方を海に囲まれているという、他国には見られない地理的状況を持っている我が国が、やむを得ざる選択肢としてエネルギー源の多様化によるリスク分散ということも含め、国策として進められて来たものでこれ自体は間違った判断ではなかったものと認識しています。
しかしながら今回の福島第一原発の事故をふまえると長い目で見た場合、脱原発を追い求めて行くというのが取るべき道であり、安全で環境に優しく、安く安定供給出来る代替エネルギーがあればその導入に邁進することが理想であると思います。
しかしながら、太陽光や風力発電などは技術やコストなどの面でクリアすべき課題が多く、直ちに原子力の代替エネルギーとはなり得ないことから、現実的な対応として当面は安全対策を徹底しながら原子力発電を利用せざるを得ないものと考えております。
総合エネルギー政策はまさに国策であり、従ってまずは国において自然エネルギーを含めた長期的な視点でのビジョンを示すべきと考えます。また、代替エネルギーの新技術確立のため、国費を思い切って研究開発費に投入すべきものでもあります。
こうした考え方に立って、先般、国に対し、新たなエネルギー政策の提示を強く要望したところでもあり、現時点で県が単独で期限や目標を定めることは極めて困難であります。
その他の質問につきましては関係理事者の方から答えさせていただきますのでよろしくお願いします。」
上甲県民環境部長
「まず原子力発電への基本認識として、原子力は危険なもの、安全というのは間違いだと考えるか、とのお尋ねでございます。
石川議員にお答えしたとおり、原子力発電につきましては設備故障や誤動作によって内在する放射性物質が周辺住民の健康に悪影響を及ぼす潜在的危険性がありますことから、多重防護の考え方によりこのリスクを抑制するための安全対策が講じられてきたものと認識しております。
しかし福島第一原発の事故により原子力発電に対する不安感が拡がっておりますことから、より一層の安全対策が必要と考えております。
次に伊方原発がメルトダウンした時の対策はどうかとのお尋ねでございます。四国電力では福島第一原発事故をふまえて国から指示のあった緊急安全対策を実施するとともに県から要請してきました追加的安全対策に取り組むなど、過酷事故が起きないように対策を行ってきておりますが、仮にメルトダウンのような過酷事故が起こった場合におきましても福島第一原発のような事態には至らないよう国の指示に基づきまして中央制御室の作業環境の確保、緊急時におけます発電所構内通信手段の確保、高線量対応防護服、防止機材の確保や、放射線管理のための体制の整備、水素爆発防止対策、瓦礫撤去用の重機の配備、を順次実施しているものと承知しております。
次に伊方原発の立地条件につきまして3件ご質問がございました。まず三婆川帯について対立する見解をどう説明するのかとのお尋ねでございます。四国の中央構造線の南側に位置します三婆川帯の変成岩は元来強固な性質を有しておりますが、一方地表に露出した部分については長い年月をかけて風化する過程で強度が小さくなるといわれておりまして、これが佐々木議員ご指摘の三婆川帯の強度について異なる見解が見られる原因と考えております。
伊方発電所は地表面の岩盤を掘削し、空気に触れることがなかった強固な岩盤の上に直接設置されており、建設に当たりましては四国電力がボーリング調査等を実施し、原子力発電所を建設する為に十分な強度を持つ強固で安定した岩盤であることを確認し、国の安全審査でも確認されているところでございます。
次に、送電線鉄塔の耐震性はどうなっているかとのお尋ねでございます。佐々木議員お尋ねのとおり、送電線鉄塔につきましては耐震基準は設定されておりませんが、国の電気設備の技術基準で風速40メートルの風圧荷重等に耐えることを求められております。佐々木議員お話しの、風速40メートルの風が吹く中で地震が発生した場合の耐震性評価は承知しておりませんが、原子力発電所におきましては鉄塔の倒壊等により外部から供給される電源が失われたとしても、非常用ディーゼル発電機や今回の緊急安全対策で配備された電源車により緊急用の電源は確保されることとなっております。
今回の地震により鉄塔が一基倒壊したことは承知しておりますが、国の評価結果によりますと、鉄塔近傍の盛り土の崩壊で倒壊したこと、地震そのもので倒壊した鉄塔はなかったこと、今回の地震で観測された倒れた鉄塔近傍の最大加速度699ガルを上回る、平成7年の兵庫県南部地震の最大加速度818ガルにおきましても、鉄塔は大きな被害を受けていなかったことから、鉄塔の耐震性には問題ないと結論づけております。
3点目は伊方原発の耐震性見直しの結果、想定される地震の揺れの規模が大きくなったのに、津波の引き波の規模が小さくなったのはなぜか、とのおたずねでございました。
四国電力では平成18年に新耐震指針が改定され新たな地震調査結果や最新知見を元に、敷地前面海域の断層群を評価した結果、基準地震動の引き上げに伴って地震の規模は大きくなったものの、一方断層面の滑りについては縦方向成分が減少したため、引き波の影響が小さくなり、余裕が従前の4センチメートルから121センチメートルとなった評価を取りまとめ平成21年2月に国に報告書を提出しております。
その後も国で審議が重ねられた結果、断層の長さや滑りの角度等が見直されまして、四国電力は平成23年3月にこれら審議結果を踏まえ引き波に対する余裕が121センチメートルから37センチメートルとなった評価報告書を国に提出し現在国において審査を行っているところでございます。
なお、津波の評価につきましては国は、今般の地震津波発生のメカニズムの分析等を行いまして得られた知見に基づいて地震再評価に反映するとともに現在の審査を加速し、早期に完成させるとしておりまして、県としてもその状況を確認して参りたいと考えております。
次に原発安全神話の背景について3点ご質問がございました。まず、安全神話に異議を行う雑誌の報道内容に四国電力は抗議や訂正要求等をしているのか、とのお尋ねでございます。
四国電力では、雑誌等の記載が明らかに誤りである場合には必要に応じて説明をしていると聞いております。
次に四国電力の広報関係費はどうなっているのかとのお尋ねでございます。四国電力の広報関係費につきましては四国電力からは公表されておらず、県としては承知をしておりません。佐々木議員お話しの議会での質問は9月28日のプルサーマル関連広告費用についてのお尋ねであったと思われますが、その時点でも公表されていなかったためそのように回答したものでございます。
四国電力という一企業の広告関係費が県の原子力安全対策および防災対策に影響を及ぼすとは考えておりませんため、広告関係費について把握しておく必要はないものと考えております。
3点目は、国の原子力安全・保安院への原発メーカーからの天上がりの実態と県の評価はどうかとのお尋ねでございました。
原発メーカー等の民間企業から国の原子力安全・保安院へ再就職した人数について実態は把握しておりませんが、国によれば、これらの職員は民間企業を退職し正規の国家公務員として採用をされており、また保安検査などの規制業務につきましては本人管理部門による定期循環等で適正になされていることを確認しているとのことでありまして、原子力安全・保安院が原発メーカーの影響を受けて原発検査やプルサーマルにゴーサインを出すなどは常識的に考えられないことと思っております。
最後に伊方原発の安全対策についてご要望がございました。まず伊方原発の総点検を国と四国電力任せではなく県の責任で進めることというご要望でございます。原子力発電所の安全確保につきましては一義的には事業者が責任を有し、国が法令に基づき定期検査等によって原子炉及びその付属設備全般にわたり健全性を確認しているものでございます。
県としては国の確認時に職員が立会し現地で確認するとともに、専門家、有識者、住民代表等で構成する伊方原発安全管理委員会において厳正な審議をいただいているところでございます。
今回の福島第一原発事故を踏まえ国は緊急安全対策や過酷事故対策を指示しましたが県も独自の追加対策を要請しているところでございまして、安全性の確認を全て国と四国電力にもたせているわけではございませんのでご理解いただきたいと思います。
次に県民の不安に応える公開の討論会を開くこと、という要望がございました。伊方原発の安全対策につきましては学識経験者、農水産関係、医療関係、報道関係、地元自治体の代表者等で構成する伊方原発環境安全管理委員会を公開で開催し、この場で直接国や四国電力から説明を受け、透明性を確保しながら審議して、その審議の状況、配布資料や議事録を公開しており、その中で広く県民に周知出来ると考えております。
また、県民の代表である県議会で議論していただいており、さらには四国電力においても今回伊方発電所の20キロ圏内を対象に全戸戸別訪問を実施しているとのことから、現時点では公開の討論会を開く予定はございません。以上でございます。」
とうくら経済労働部長
「今後のエネルギー政策についてのウチ、太陽光発電への県独自の新たな補助制度を作る考えはないかとのお尋ねでございます。太陽光発電につきましては県ではこれまで武道館や県立高校へ太陽光パネルを設置するなど公共施設への導入促進に努めますと共に、県内中小企業等の温室効果ガス削減を推進するため、平成22年度と23年度で民間施設省エネグリーン化推進事業費補助制度によりまして、太陽光発電設備を含む省エネ改修等に助成を行っているところでございます。
なお住宅用太陽光発電に関しましては、すでに国や県内14市町において補助制度が措置されているところでありまして、県独自の補助制度につきましては、今国会に提出をされている再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度を創設する法案の動向や県の財政状況等を見極めながら、今後検討したいと思っております。
次に原発関連の交付金を自然エネルギー開発に振り向けることとのご要望でございました。原発関連の交付金につきましては原子力広報、放射線監視施設や安全対策設備等が交付の対象とされておりまして、その一部につきましては地域活性化に資する事由に活用できますことから、自然エネルギー開発への充当も可能でございますが、その使途については交付対象団体がそれぞれの行政需要に応じて決定を致しておりまして、現状としましては緊急避難道路や消防施設の整備、防災無線や災害医療の強化対策など地域の実情に則した防災対策や安心安全の確保のための事業が実施されているところでございます。
なお県の交付金については、これまでは保健医療や産業振興分野などで有効に活用をしてきたところでありますが、今回の原発事故を踏まえ、当面は原子力の安全確保の観点から防災対策等を中心とした事業に重点を置くべきであると考えておりまして、自然エネルギーへの活用につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。以上でございます。」
佐々木泉議員による再質問 残り3分6秒
「知事はエネルギー政策の転換について、まあ原発ゼロは長い目でみての話だ、とまあ国の方針を待つということなんですが、国がこれまで国策としてやってきて福島のこういう事故になった訳ですから、やっぱり地域から声をあげていくことが大事なんじゃないんですかねえ。こういう風に至った国の責任をやっぱガンガン愛媛から声をあげて、原発を持っている県から声をあげていくことでエネルギー政策の転換を進めていくってことでやって欲しいです。国から指示がないと出来ないというのでは本当にこれ先行きが不安でたまりません。
長い目と言われましたけれども、私太陽光発電の県独自の補助制度なんか、全国38府県、震災後は17府県がやっているんですから別にこれは長い目で見なくったってすぐに出来る、こういうものはすぐにやっていただきたいと思います。
それから、津波のことなんですが、国で今審査していると、これはどういうことですか。審査で国のokが出ていないのに伊方原発動いているということなんですか?
地震の規模が大きくなったのに津波が規模が小さいということは、どう説明受けてもわかりませんよ。前の設定が誤っていたからそうなったのか、設定し直したらやっぱりその引き波の規模も大きくなると思うのでもう一度答弁を求めます。
それから、週刊誌などが間違っていたら四電は指摘するが、そうでないならば言わないと言うんだったら、やっぱりあそこの伊方原発について週刊誌が指摘した内容は正しかったということになりますよ。そうすると浜岡原発の次に伊方原発が危険というならそれは認めないかんことじゃないですか。
それから、保安院の原発メーカーから出向しているのが常識的には偏ったとは思えないそのような常識は世間は逆ですよ。そういう原発を進めて利益をこうむっていたメーカーから出て行けば当然その古巣の意向に沿ってその利益のためにやると思うのが常識じゃあないでしょうか。
そのところもう一度お答えをいただきたいと思います。以上。
中村県知事
「エネルギー政策がなぜ国策なのかという点について少し触れさせていただきたい。そのハンドリングを間違えるとですね、国民の生活そのものにも大きな影響が与えられる。また産業の空洞化という現象がある。それがもたらす先は雇用の場の喪失、あるいは経済国としての力の喪失、いろんな問題がふさがってしまいます。
かつて数十年前、国際的なエネルギー戦略の包囲網によってですね日本は追い詰められた時期がございました。その時には最悪の選択をした訳です。
戦争というボタンが押されてしまった訳です。
世界の国際的紛争という大半が、例えば中東なんかを観ますと、エネルギー戦略というのが大きく関わってくる訳です。
私もかつて石油の業界におりましたけれどもまさに石油も石炭も、原子力もあらゆる物資が資源がですね国際戦略物資という位置ずけで捉えられるというのが哀しいかな現実でありまして、日本の国というのはまさにこうした資源が自国で賄えない、資源のない国であります。そして四方を海に囲まれているということは他のヨーロッパの国のようにですね、送電線をつうじて外国から電力をいとも簡単に購入することはできません。、あるいはLNGのパイプラインを引いて陸送で他国から安定的に供給することもできません。
こうしたような中で国策としてエネルギー戦略を考え原子力もその中の位置づけで、リスク分散を含めた形で捉えてきた戦略だという風に申し上げました。
他方今回の事故を受けまして自然エネルギーの活用というのも一つの道だと思いますけれども、それで全てが賄える、自然エネルギーをすぐさま着手すれば解決するという次元では今はない訳であります。
かつて松山市長時代も太陽光発電の普及について国の補助制度がなくなった時も含めてその補助制度を維持してきた経緯がございます。そしてまた県、前加戸知事と一緒になってメガソーラー発電所の誘致を実施致しました。
現在ご案内のとおり、松山市ではメガソーラー発電所の建設が進んでおりますけれども、ご案内のとおり7万平米という広大な土地にパネルを敷き詰め、数年間かけて3期の工事に区分けするなかで工事が進められております。私も最初メガソーラー発電所と聞いた時にどの程度の出力が出れるのか、期待をしました。
しかし今の技術では7万平米のメガソーラー発電所で作り出せる出力は4300kWにしか過ぎません。しかも安定的な供給、あるいは蓄電が出来ない訳でありますから、だからこそこれから国費で総合的なエネルギー戦略を考える中で、新しい技術の確立にむけて思い切って研究開発を行っていく必要性がある、それを並行して確立した時にいろんな道筋というものがあるのではなかろうかと思っております。そういう意味で現段階では追い求めるという目標を掲げながら、現実というものをしっかり見極めて対応をしていく必要があるのではなかろうかと、それが私の考えでございます。」
上甲県民環境部長
「まず国が審査中どういうことか。それなのに伊方原発動いているのはどういうことかということだったと思いますが。
国の方では最初4センチから120センチになりましたけれどもその後、断層の長さ、を変更しました関係で再度見直しがあったものでございます。
今回の地震の分析を行って再評価されるというそういう意味で国では再審査中ということになっております。
それから、地震の揺れが大きくなったのに規模、津波が小さくなったのはどういうことかということでございますけれども、四国電力におきましては新たな地質調査結果や最新知見を元に敷地前面海域断層群を評価して、断層の傾斜角や滑り角を見直したということで、断層面の滑りの縦方向の成分が減少しております。
いずれにしましても津波の評価につきましては今回の地震で得られた知見を元に再評価することとしておりますので、県としてはその状況を確認して参りたいと考えております。
それから2点目は、雑誌報道に対して訂正や抗議しないのは、正しかったことを認めるのではないかというご質問でございました。
四国電力に聞きましたところ、一方的な見解や、不十分な情報に基づく記事が多いことや、また直接反論や抗議を行っても中々期待される効果が得られないというようなことで、抗議や訂正は差し控えているけれども、必要に応じて抗議や訂正も考えているということでございました。県民の皆さんには広報を通じてあるいは直接戸別訪問を行いまして理解を得ようと努めているということでございました。
それから天上がりの関係で、原発による影響を受けるのではないかというおたづね、私どもでは正規の公務員として採用をされていること
定期巡回等で適正になされていることを確認されており、原発の建設やプルサーマルにゴーサインを出すということは常識的には考えられないものと思っております。」
とおくら経済労働部長
「太陽光発電への新たな補助制度についてすぐ取り組むべきではないかそういう内容だったと思います、先ほどお答えしました通り、今国会に再生可能エネルギーの全量固定価格の買い取り制度を創設するための法案が提出されておりまして、また国に対して新エネルギーの導入促進に対する支援措置の拡充等を要望しているところであります。したがいましてこれら動向や県の財政状況を見極めた上で今後検討致したい。以上です。」
佐々木泉議員再々質問
「知事の意見を聞いていますと、やっぱり国の方向を決めて、方向が決まってから愛媛県が付いていくというニュアンスが感じられてなりません。せっかく脱原発とおっしゃったんですから、まず脱原発を決めて、それを何年以内にやるということを背水の陣で決めてこそ、自然エネルギーの方向に向いていくんじゃないかと思います。
それから、よその県38県プラス17県でやっているんですから太陽光の補助くらい国の方針を待たなくても今すぐ知事がやるといえばすむんですから、これもあわせて知事がお答え頂ければと思います。以上です。」
中村県知事
「さきほど申し上げましたように、エネルギー政策というのは単純なものではありません。まさに国の浮沈が掛かるといっても過言ではない政策だと思います。だからこそ国策として様々な総合的な資源の多様化も含めてですね、追い続けてきた歴史もあります。
当然ながら私どもは今の事故を受けてですね、長い目で観て脱原発を模索するのが目指すべきであるというメッセージは送っているのですから、それを受けて国の方でですねこれから国として総合的エネルギー政策をどうしていくのか、資源のない、四方を海で囲まれているこの条件の中で将来を見通せるような総合戦略というのはどういうものかというのはしっかりと議論をして頂けるものと信じています。まさに国会議員に奮起を促したいと思います。」
とおくら経済労働部長
「さきほどお答えしましたとおり、今後検討したいと思っております。以上であります。」
再々々質問は認められていないためここで終了。
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