伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

伊方原発と九州の火山問題その後 規制委が「バックフィット」を適用すると宣言したからには、伊方3号機は即時停止すべき

2017-07-25 09:27:27 | 火山と原発

 原子力規制委員会で新たな研究結果が採用された結果、火山灰問題で原発が既存不適格な状況にあることがわかりました。「バックフィット」を新たに唱えてきた以上、原子力規制委員会は直ちに運転中の川内原発、伊方原発の停止を命令すべき状況です。

 つい先日も伊方3号では非常用電源のディーゼル電源を一台ずつ停止して、海水のクーラー清掃をしていたことがB保安異常として県への通報対象となっていたことがありましたが、常に2台で(安全装置を二重にして)スタンバイしていないといけない非常用ディーゼル発電機の脆弱性に関わる論点がもう一つ出てきたとも言えます。

 

 バックフィットの制度はどこまで意義のある制度になるのかどうかが、実例で試されようとしているわけですね。

 

 

 

 福島老朽原発を考える会(ふくろうの会)とFoEJapanのネットテレビ番組FFTVで、原子力規制委員会の審査をウォッチしている坂上さんからのメール通信を転載します。 


みなさまへ

先日お知らせした原発の火山灰濃度の件でFFTVで続編を配信しました。ぜひご覧ください。また、金曜日のチラシ用に書いたものを添付します。

FFTV 続報/原発の火山灰影響評価〜許可済み原発は違反状態 20170720a 
https://youtu.be/t16rOVlacuM

FFTV 原発の火山灰影響評価〜使えない「基準」変えないの?2017-7-4-a 
https://youtu.be/QoAvrQacUmo

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火山灰濃度基準が100倍に!
原発止めて審査のやり直しを!

 火山噴火による降灰では、非常用ディーゼル発電機のフィルターの目詰まりが
問題になります。規制委は7月19日の会合で、評価に用いる火山灰濃度を100
倍規模に引き上げる方針を決めました。稼働中の川内、高浜、伊方原発や許可済
みの大飯、玄海原発はいずれも新しい基準の要求を満たしていません。直ちに止
め、許可を取り消すべきです。

◆火山灰により非常用ディーゼル発電機のフィルターが目詰まり

 原発の審査で用いられる許可基準規則及び火山影響評価ガイドは、外気取入口
からの火山灰の侵入によるフィルターの目詰まり等によって非常用ディーゼル発
電機が機能喪失とならないことを要求しています。福島原発事故のような全電源
喪失にしないためです。
 電力会社は、火山灰濃度を仮定した上で、フィルターが詰まる時間と交換に要
する時間の評価を行い、余裕をもって交換できることを示し、許可をとっていま
した。川内原発などは、アイスランドでの観測値(約3ミリグラム)を用いて評
価し、フィルタが詰まるのに約25時間かかるが、これに対し交換は約1時間で余
裕があるとの評価を行っていました。

◆昨秋に火山灰濃度の基準が10倍になった

 昨年10月に規制委は、美浜3号機のパブリックコメントの指摘を受けて、火山
灰濃度がアイスランドの約10倍となる米国セントヘレンズ火山の観測値(約33ミ
リグラム)で再評価するよう、各電力会社に指示を出しました。川内原発の場合、
フィルタが詰まる時間は約2.5時間となりましたが、それでも余裕があるとの評
価結果でした。
 その過程で、規制庁から規制委に富士山宝永噴火のシミュレーションにより、
火山灰濃度がセントヘレンズの約30倍(約1,000ミリグラム)になるとの電力中
央研究所のレポートが報告されました。これについては直ぐに基準を変えること
はしませんでした。

◆規制庁の試算によりさらに100倍に!

 今年に入り、規制委は火山灰規制の検討チームを立ち上げ、その中で規制庁が
3つの試算を行いました。1つはセントヘレンズの観測値に基づく試算でしたが、
この観測値については、観測機器の限界を超える火山灰が降ったことから、過小
評価の可能性があるとして採用しませんでした。残り2つは、いずれもセントヘ
レンズの約100倍規模(約2〜4グラム及び約数グラム)になるとの結果が出まし
た。こちらの試算は、計算やシミュレーションによるものであり、不確かさが大
きいとされ、「参考濃度」という名前がつきました。
 検討チームでは「参考濃度」の取り扱いが曖昧なままでしたが、今年7月19日
の規制委会合で了承された「基本的考え方」において、これを基準として取り扱
うことが決まりました。(裏に続く)

◆非常用発電機を止めてフィルター交換するのはそもそも基準違反

 さらに規制委は、単一故障の仮定から、非常用ディーゼル発電機は2台が健全
であることを要求しました。加圧水型原発では非常用ディーゼル発電機は2台し
かないので、一方を止めてフィルター交換という現状では、基準違反になること
が改めて指摘されました。

◆現状では「参考濃度」が「限界濃度」を大きく上回っている

 基準の扱いが決まった「参考濃度」について、電事連は、検討チームの最終回
(今年6月22日)に、既に許可が出ている川内、玄海、伊方、美浜、高浜、大飯
の各原発の対応状況について資料を出しています。各原発で「参考濃度」を算出
した上で、フィルターが目詰まりするまでの時間が、交換に要する時間(約1時
間)に一致する「限界濃度」と比較したのが下表(添付のもの)です。
 電力会社は「限界濃度」の算出に際して、許可で用いたフィルターの仕様書に
ある最大値を使わず、わざわざ実験を行い、それにより求めた限界ぎりぎりの
「実力値」を使っています。それでも、高浜原発を除くすべての原発で、参考濃
度が限界濃度を超えています。川内では約3倍、伊方や玄海では約4倍も上回っ
ています。
 
◆許可済みの全ての原発で「2台が健全」の要求を満たしていない

 高浜原発にしても、参考濃度が限界濃度に肉薄しています。この場合、フィル
ターは常に交換作業を行っており、常に1台しか動かすことはできません。これ
は、2台が健全であることを要求する基準に反することになります。
 参考濃度が限界濃度を超えていること、非常用ディーゼル発電機が2台しかな
い状況で、フィルター交換時に一方を止めなければならない設計であること、こ
の2点において、現状では新しい基準に反することになります。

◆稼働中の原発は直ちに停止を!許可の取り消しを!

 電力各社は今後の課題として、フィルタの性能を高めることと、フィルターを
二重にした上でカートリッジ式にするなど、運転しながら交換できるようにして、
2台とも健全であるようにするとしています。しかしそれは今後の話です。
 規制委は、稼働中の原発を直ちに止めなければなりません。許可済みの原子炉
については、許可を一旦取消し、参考濃度や限界濃度の算出や、参考濃度に対応
するための設備内容を含めて、再審査を行わない限り、再稼働を許すべきではあ
りません。


 さて、バックフィットとは? でググってみました。

http://www.ene100.jp/バックフィット制度とは ここJAERO(日本原子力文化財団)とは政府系の財団のサイトだと思いますが。

バックフィット制度とは

 政府は、今回の事故の教訓を踏まえて法律※を改正し、世界最高水準の規制を導入するとしています。そのひとつが「バックフィット制度」といわれるもので、発電所の電源の多重、多様化や原子炉格納容器の排気システムの改善など、最新の技術的知見を技術基準に取り入れて、すでに運転をしている原子力発電所にも、この最新基準への適合を義務づけます。最新基準を満たさない場合には、運転停止(廃炉)を命じることができるとしています。

さらに、こうした規制強化をしたうえで、原子力発電所を運転できる期間を40年にすることも法律に明記されています。

これまでの原子力発電所の安全規制は、主に事故の発生防止を目的としたもので、過酷な事故(シビアアクシデント)が起こった場合の人や環境への影響を防ぐ取り組み(アクシデントマネジメント)は、事業者の自主的な取り組みに任されていました。法案の成立後は、このアクシデントマネジメントも規制の対象となります。

※「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」

 

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