伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

美浜の会小山先生による新規制基準の矛盾-津波源の地震と耐震評価の震源地震の規模がちがう-

2013-11-28 08:03:42 | 原発震災関連

 こりゃまた、フクシマ事故を受けて、再稼働を急ぐあまり新規制基準を粗製乱造したせいでしょうか、大きな矛盾が原子力規制委員会の審査の中で出てきました。

 美浜の会(美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会)の小山先生の筆になる「伊方3号機は、津波と同じ評価方法によれば基準地震動をはるかに超える地震動に襲われ壊滅する」との記事を以下のリンクからお読みください。まさに伊方原発のケースが書かれています。

http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/ikata3_jisindou_20131126.pdf

 

章立ては、このようになっています。
1.伊方原発敷地前面海域の断層群は津波評価と地震動評価に共通 
2.津波と地震動で異なる二重基準 
3.武村式で評価すれば、地震動は現行基準地震動Ssの4.7倍程度になる 
4.地震動はクリフエッジ(崖っぷち)をはるかに超える
5.格納容器も破壊され、壊滅的な放射能被害が起こる 
 
 旧の基準地震動Ssの4.7倍の地震動加速度を想定すれば、もう根本から耐震性の評価が崩れるのは当然です。
 津波源となる地震については、土木学会が別途採用した、武村の式(1998年版)を使っていることで自動的にこうなる、という話の展開でした。
 
 この話の関連では、以前から「国」の(中央防災会議/推本/原子力安全保安院)3種の活断層評価の中で、原発という再重要施設の想定地震動が、最もユルイ(過小評価)レベルの評価になってしまっているという批判がされていたものです。
(上図では、Irikura et alと書かれた青四角の線グラフが、入倉の式によるもの、水色の菱形の線グラフ(本調査会)が、推本による評価、紫色の三角が武村(断層面積)の式によるものです。)
同じ活断層から起こる地震の規模が一番小さいと批判されて、シカトしていた悪質なものです。
 国の地震研究推進本部は科学的な評価のど真ん中を狙うという意味、防災会議は防災の観点から起こりうる最大規模のモデルを採用というポリシー的な違いがあるわけですが、それも踏まえると原子力安全保安院が行った旧の耐震バックチェックは国の中央防災会議レベルの最大規模のモデルを採用するべきでした。
 
 特に、今回の新規制基準の中では、「世界で最も安全な原発」とするために改善されたものですから、本来なら06年に始まった耐震性バックチェックの厳しい方向への改訂をこそ行わなければならなかったのは当然です。
 想定している津波源となる地震と耐震評価の基準地震とがこんなに4.7倍もの差がある状況というのは解消されなければならない、というのは声を挙げていきやすいものですし。
いやー、こんないい反対運動の材料を小山先生には紹介していただきまして、伊方原発は再稼働への一番乗りから早々に脱落かな~? とハイになってしまいそうです。
 
P.S.ちなみに、元論文の1.の項目は、

「8月 28 日の審査会合に出された地震動評価 [2]の基本震源モデルでは、上記津波評価と同じに、L=54 kmとしている(右図)。」

というところですが、元の09年提出の耐震バックチェック時の評価は、審議の過程で54kmに延長したものに差し替えられたものかもしれません。原子力安全保安院だったか、(今は亡き)原子力安全委員会だったかからの審査で指摘を受けて、54kmに長くしたものに評価しなおしたのを踏襲しているのだと思います。左右のジョグの中間点まで基本モデルの長さを延ばしたという説明になっていました。つまり津波と耐震評価では全く同じ地震源であるとみなされているのだと思います。


後日記:線グラフの図と解説を追加しました。元資料について、長沢啓行氏の若狭連帯行動ネットワーク通信の過去記事より2件を紹介しておきます。

 ・7.3交渉での資料請求に対する原子力安全・保安院と原子力安全委員会からの回答
 ↑ここの5ページに、国内の複数の活断層で入倉式と武村式を比較した
中央防災会議の審議内容が出ています。(上図)
・耐震安全性バックチェック報告は地震動を過小評価している 
—– 「活断層で発生する地震の特性化震源モデル」の問題点とバックチェック報告の批判 —–
 この本文中の15ページに武村の(近似)式の元データとなった地震の数値が、
16ページには入倉の(近似)式の元データとなった地震が、
それぞれ紹介されています。
 

 

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