これはLET IT BEのスタジオ録音版だ。1970年に発表されたBeatlesの最後のオリジナルアルバムLet It Beはライブ仕立てだった。当時Beatlesの公式ライブ盤は一枚も発表されていなかった。だからLet It Beはライブ感覚で新鮮に受け入れられた。ジョンの音声発言が巻頭と巻尾に収録されている。どちらもジョン得意のジョークだ。バックの笑い声さえかすかに収録されている。ラストの「我々グループはオーディションに合格したようだぜ」というのは本当にジョンのユーモアセンスに感心する。
楽曲の演奏前にもメンバーの生の声が聴かれる。とにかく楽曲もライブ演奏を感じられるように収録されている。
しかるにNAKEDアルバムはきっちりとスキ無しの全11曲構成されていて、オリジナルでは入っていないDON’T LET ME DOWNが8曲目に入っている。これがこのアルバムのみそだ。アップルビルの屋上ライブ演奏がYOU TUBEでなんぼでも視聴できる名曲が収録されている。
オリジナル盤のDIG ITとMAGGIE MAEがカットされている。両曲とも完成度が低くライブ感そのままの録音がフューチャーされていた。
NAKEDでは曲順もオリジナルと違っていてGET BACKがファーストトラックでラスト11がLET IT BEである。両方の楽曲のテイクも違っている。どうもEP盤とLP盤の違いのような気がする。テイクが最も違っているのがTHE LONG AND WINDING ROADでこれはマッカトニーが嫌ったフィル スペクターのぶ厚いアレンジでなく、マッカトニーのイメージしたシンプルなサウンドが採用されていて、ファンにとっては聴きごたえがある。
オリジナルLET IT BEより完成度は高いのだが、やはり二番煎じのそしりが免れない。しかし以上の見解どおりBEATLESファンとしては必携のアイテムといえる。
P.S.音楽は聴覚だけのことだと思っている人がいるが、実際は視聴覚である。演奏は聴くだけではなく、見なければ解らないと言っても過言ではない。その曲の演奏シーンを視て初めて解ったという曲が多い。演奏者やその曲のイメージするシーンを視て初めて解る、その音楽の意図する事が、モチーフが、素晴らしさが。