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「死は存在しない」田坂広志著の読後感

2023年03月27日 20時25分10秒 | 哲学
 
  2022年12月25日6刷発行本を読んだ。光文社新書である。新書という形式上、内容量は限定的だ。主テーマの入門書的紹介しかできない。これが選書版なら内容ヴォリュームが2倍ぐらいになるのではないか。読みごたえがあって説得力も増す。いかんせん、これは新書だから一気に通読できるがその主張の皮相的理解にとどまる。
 著者は1974年東京大学卒業と奥付にのっていて、高い知性の持主と推定される。この著作で大胆な仮説が述べられていて、そこに現代的科学根拠があるのが示されている。
 わたくしの何か月前の読後感をありていにいえば、あの世は存在する事が説明されている。死後の個人の魂が物理性質を変えて存在する事が説明されている。その場がゼロポイントフィールドである。ここは無限大の許容量があり、永遠に存在し、実は過去と未来のすべてのこの宇宙の出来事が存在しているところなのだ。すべての未来もすでに存在している。この記録がアカシア記録であり、書中では引用されていないが心霊学で有名なブラヴァツキー夫人が19世紀に唱えていた。
 唯識仏教でいう阿頼耶識の実在も説明されている。量子科学の理論からゼロポイントフィールドが導き出されるのだが、人の魂のその存在根拠が科学的にどう説明されていたのかはわたくしは忘れていた。
 そうだ目次を見て思い出した。個人の意識がゼロポイントフィールドに一体として死後も残存するのだ、自律性をもって。しかしその個人の意識も永遠に存続するわけではない。ついには一つの宇宙意識に吸収されてしまう。だけどそれは極楽天国なのだ。
 あくまでこれらの説明は仮説なのだが、最先端の物理科学的根拠によっているので充分説得力がある。わたくしは無神論無宗教主義で死んだら永遠の無だと思っていたが、ひょっとしたら違うかもしれないと自己の死に、安堵感を少しもった。
 本当に量子物理学では常識外(因果関係に反する)の量子の様相が実証されている。