今日の一貫

農業団体の政治感覚

農協中央会が44回衆議院総選挙の推薦候補を本日発表した。
農協中央会というより、正確には「全国農業者農政運動組織協議会」という長ったらしい名前の団体。通称「全国農政協」と呼ばれている。

推薦候補は基本的に自民党と公明党。つまり小泉構造改革支持。

そこに若干の味付けがある。
一つは、いわゆる刺客が立候補しるところで、無所属を推薦しているケースがあること。
対象はいわゆる農林議員だ。つまり小泉構造改革に反対した人。
北海道の山下貴史、秋田の野呂田芳成、埼玉の小泉龍司、
国民新党も亀井静香、岐阜は野田聖子や藤井孝男。古屋圭司、福岡の自見庄三郎、佐賀の保利耕輔、宮崎2区の江藤拓、などなど。
民主党でも福島3区の玄馬光一郎は例外で、唯一推薦されている


二つ目は、自民党候補推薦を見送り、誰も推薦しない選挙区があること。そのことによって、非自民系議員を消極的に推薦したいという意を表していること。
綿貫民輔の富山3区や長野の1区から4区まで。山梨それに静岡7区、
山梨は、堀内光男など、長野には1区は篠原孝、3区が羽田孜の民主党がいる。

しかし農政連の推薦なるものはどの程度効果があるのか疑問だ。
推薦されないよりはましといった程度のものではないか?
というのも、農協に票はないのは今や常識だし、また組織票は当てにならないというのも常識。


さらにわからないのは、農政連はなぜ自民党なのか?ということ。

武部幹事長が農水大臣だった頃、農政の大胆な改革をやったことは記憶に新しい。
私はこの小泉構造改革を支持していた。

武部さんは「農協の解体的改革」とまでいって農協の改革を促した。
しかし、農協はこれにかみつき、解体とは何事かと、武部罷免を言い続けた
「武部を落とす」「解体とは何事だ」と農協はいきり立っていたはず。
実際に誰がどう言っていたか私は知っている。

しかし02年9月の内閣改造で、武部大臣から、大島理森になって改革は停滞した。以来、政治主導の農政改革は頓挫した。

しかし、その結果は、05年の全農秋田問題に端を発する不祥事だ。組織的なたががゆるむだけでなく、考え方も腐敗しきっており、会長をはじめ、全ての管理職が引責辞任せざるをえない状況となった。武部が落ちずに、実際に落ちてしまったのは、全農だった。

あのころ政治主導ででも全農改革が必要だったのに、それがあのとき「解体的改革」をしなかったのが致命的だった。解体敵改革をしていれば、今日の全農の不祥事は、なかったかもしれないし、全農にも明るい光が差し込んでいたに違いない。


あのころ、自民党内部の農林議員と、小泉武部構造改革農政の対抗の中で、農協は明らかに前者農林議員にすり寄れば、武部・小泉改革はどうにでもなると踏んでいたはずだ。

小泉首相が何を壊したかったのか、こうした自民党的なものを壊したかったのだ。それが、今回の選挙で明確になったような気がする。

しかし、農協が今回推薦している勢力は明らかに彼らが敵対視していた勢力だ。
その自民党を支持する農協のロジックがわからない。

小泉自民党は、農協や農林族の敵ではなかったのか?
その敵の小泉自民党を諸手をあげて推薦する農協って、これ何。

農業の担い手を「農業経営者に集中させ、経営安定対策の対象を彼らに集中にする」とする、自民党案にも農協は反対のはず。
集落全員農業へ補助すべきだとしていたのではなかったか?

この点は民主党のマニフェストの6番目、「1兆円の経営安定対策で10年後に自給率50%へ」の方が、農協の主張と合う。
農協は構造改革を推進する小泉自民党より、弱者(=農民)に優しい民主党を支持すべきではないか?

本来なら、その主張者、民主党篠原孝や羽田孜を推薦すべきだろう。
長野1区や3区はどちらも推薦しないなどというのは姑息だ。
東京10区の鮫島も推薦すればいい。小池を推薦するのはそれこそ筋違いだろう。

ともかく、訳のわからない推薦者の決定だか、この辺は是非推薦当事者に聞いてみたいところだ。

ただ、農協という組織は、マニュフェスト型の選挙には対応できなくなっているのだろう。理念型の選挙で対応が麻痺してしまっている。

共同体型の、信頼できるできない、で動いているのだろう。組織代表者は、目の前の利益で動かざるを得ず、あちこちに保険をかけておきたいという、気持ちしかなくなるのではないか。だから、権力を持っている人に愛想を疲れたらおしまいと思っているふしがある。権力者が好きだ。

ただ、農協が推薦したからと言ってそれにわが国の政治が影響されるとも思えない。

ちょっと組織票の凋落を調べてみた。参議院選挙だ。
特定郵便局長OB会大樹は、01年に、高祖憲治 47万が、04年、長谷川憲正28万表と半減。
農業関係は、01年、福島啓史郎が16,6万票が 04年 日出さんは11,8千表紙か得られなかった。そして落選。農水議員はじまって依頼の出来事。農業土木も、01年段本幸男 20,7万が、04年佐藤昭郎 16,7万 となっている。

農協票は、今や全国で11万票しかない。この調子だと次回は7万票ぐらいになるのではないか。
そんな団体に推薦されても迷惑というのがコモンセンスだろうに。


(未完)
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