新潟県長岡市小国町の農事組合法人「よこさわ」が主人公。
この話、実に日本の農業の情景を表している。
集落の農家93人と計36ヘクタールの田を持ち寄って法人化したのがこの「よこさわ」。
売上高4143万円で、経費が4687万円。
9種類の交付金や補助金収入1461万円。
93万円の黒字という集団。
この交付金や補助金がこの記事の肝。
実は農家は米価の下落を嘆いて、もう農業はできないと言うが、米価下落を補う制度は今でもあるのだ。しかしその仕組みが複雑で実はあんまりよくわからない。
「ナラシ」なんて言っても誰もわからない。
だから民主党の「戸別所得補償」にとなるのだが、新潟県はそれでもよくわからないと批判をする、という記事。
新潟県が創設した所得補償の方式の方が、直接300万円農家に行く、ただし3年で自立してくれ、、といった内容でわかりやすい、、といったもの。
確かにこの記事の通り。
もう一つ考えてもらいたいのは、そのために農政関係の県庁職員や農水省職員や町の職員がいるのではないのか、、ということ。
農水省職員3万人弱、各県の農業関係職員およそ1県に5百人(普及200人、土地改良200人、一般職100人)。49都道府県だとその49倍で農水省職員と合わせるとおよそ5万人にもなる。現在ではこの数は3万人弱まで減ってはいるが、これに30万人の農業団体職員が加わると、農業関係で給料をもらってる人々がいる人が実に36万人にも達することになる。
日本の主業農家は35万戸しかないことを考えると、日本の農業には船頭が多すぎるのだ。
シンプルなのがベスト。
補助金システムをシンプルにし、制度をシンプルにすれば、どうなるか。
公務員や団体職員はいらなくなる。
その分を農業補助金にして農業強化策にポンと使ったらいい。
しかし、そうもいかないというので、、選挙争点になるのだろう。
以下朝日新聞引用
(誰がために穂は実る:5)自立阻む目先のカネ 09総選挙
2009/08/22 朝日新聞 朝刊 38ページ 1585文字
09政権選択
21日午前7時。田畑に囲まれた作業小屋では、ニラやナスの出荷準備が始まっていた。新潟県長岡市小国町の農事組合法人「よこさわ」のパートの人たちだ。そこに長い髪を後ろで束ねた広田薫さん(27)がやってきた。
「薫くん、今日は早いな。いつもの音楽かけてよ」
広田さんが「iPhone」を取り出して肥料袋の上に置き、液晶画面に触れるとレゲエが流れ始めた。
兼業農家の次男。大学進学で京都へ。卒業後4年間、京都市の若者向けの衣料店で働いた。月12万円の手取りは洋服や飲み代で消えていた。
「このままでいいのか」。そんな時、農家出身のカフェのオーナーと知り合った。「自立するには30ヘクタールは必要やな」「ネット販売はまだまだ伸びるな」。農業に未来を感じてUターンを考え始めた。
□ □
4月、広田さんを正職員として受け入れたのが「よこさわ」代表の山崎正利さん(60)だ。工場に勤めていた07年、集落の農家93人と計36ヘクタールの田を持ち寄って法人化。兼業でお年寄りが多く、農地も狭い。集落でまとまった方が効率的に作業でき田畑が守れるというわけだ。インターネットを使った米の直販も考えている。
経営は苦しい。08年5月から09年4月までの決算書を開くと、米や野菜の売上高4143万円に対し、パート代など生産にかかる経費が4687万円で赤字だ。これを交付金や補助金などの「雑収入」1461万円で埋め合わせ、最終的に93万円の黒字になる。
主な交付金や補助金は9種類。「農地集積高度化促進事業補助金」「産地交付金団地化助成金」など複雑な名だ。山崎さんはもっと耳慣れない言葉を口にした。「ナラシ」「緑ゲタ」「黄ゲタ」。いずれも交付金の通称だという。
「さっぱりわからない」。聞いていた広田さんが言うと山崎さんが答えた。「ゲタをはかせなきゃ、今の日本農業はやっていけないってことだよ」
山崎さんにはジレンマがある。「米を作って売って生計をたてる。それが理想」とわかっていながら、実際は「交付金がいくら来るかを最初に考える習慣がついている」ことだ。
そこに民主が「戸別所得補償」を打ち出してきた。「今の交付金とどう違うのか。目先のカネの話ではなく、若い人が夢を持てる農業とはどんなものかを語ってほしいのに」と山崎さん。確かなのは、交付金など雑収入が減ったら法人は続けられないことだけだ。
一方、交付金が並ぶ決算書を見て「農業だけで食っていくのはこんなに大変なんだ」と驚く広田さんは、「自民、民主、どっちの言うこともウソっぽい」と感じている。
□ □
広田さんが今、農業への希望を持ち続けていられる大きな理由は、新潟県が今年度から始めた「所得保障」のモデル事業の存在だ。
新たに農業を始めた人に対し一定の年収を保障する仕組みで、広田さんの場合、よこさわを通じて県から年収300万円分が支払われる。条件は「3年のうちに農家として独り立ちする」こと。ぎりぎりの経営をしている山崎さんにとってもありがたかった。
モデル事業の旗振り役である泉田裕彦知事は自民、民主双方に厳しい。「これまでの農政は、霞が関の縦割り通りに、つぎはぎだらけの不完全な価格支援策を続けてきただけ」。民主の戸別所得補償についても「コストの穴埋めで終わるなら農村は変えられない」。
どちらも農村が疲弊した原因をもっと徹底的に考えるべきではないか――。それが各党への知事の問いかけだ。
【交付金の通称】
ナラシ…米価の下落分を補って価格を「ならす」交付金
緑ゲタ…転作作物の過去の生産実績に応じ上乗せされる(ゲタをはかせる)交付金
黄ゲタ…毎年の転作作物の量や品質がよければ上乗せされる交付金
【写真説明】
指導を受けニラの出荷作業をする広田薫さん(中央)=新潟県長岡市、関口聡撮影
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ヒロッピー

民主党は元々「田舎者の票など要らない」と言っていた党でしたよね。
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