昨晩、NHK合瀬氏と情報交換したが、その通りになった。
特別セーフガードを、インドの都合でいつでもかけられることに拘泥した結果だという。インド、中国は、まだ開発途上国の意識なのだろう。
これからは、WTO体制の運営はますます困難になるのか、、?
はっきりしたのは、これらBRICsをはじめとする新興国の発言力の向上。
同時にWTOの問題点も白日のものに。
例えば、アメリカの綿花など、、先進国の対応。
特に、EU、USAが戦略的にWTOを利用してる構図。
また、国家間の経済力格差がある中での貿易共存体制のあり方、ルールづくりの困難さ、等々。
マーとは言ってもこうしたことは今までもいわれていたことだが、、。
決裂したからといって、我が国が、WTOファンダメンタルを放棄するとも思えない。EPA・FTAに重点を置き始めるとはさらさら思えない。
昨日から、コメント依頼や問い合わせ、出演依頼が来ているが、TVは時間が合わず全てペケ。新聞は1社だけコメントを書くことに、、半日かけて書くも、、隔靴掻痒の感あり、、、。
WTO交渉のコメントを農業経済学者に聞こうとするも、、農業交渉ならともかく、WTOの将来を考えるには、浦田秀二郎(早稲田)や木村福成(慶応)、荒木一郎(横国)など、国際経済や国際制度の学者に聞いた方がいい?
そうした人もいますよ、、と聞かれる度に宣伝しておいたが、、はたして、、。
中には、電話番号を教えてくれという、TV局も。
必至なのだろう。
今回のプロセス、日経が上手にまとめてくれている。
以下日経新聞の30日の記事を二つ載せておこう。
ドーハ・ラウンド、WTO閣僚会合決裂、緊急輸入制限、米印が対立。2008/07/30, 日本経済新聞 朝刊, 1ページ, , 963文字
年内の最終合意、困難
【ジュネーブ=馬場燃】世界共通の貿易自由化ルールづくりを交渉していた世界貿易機関(WTO)の閣僚会合は二十九日(日本時間三十日未明)、先進国と新興国の溝が埋まらず、決裂した。農産品の輸入増に対抗する特別セーフガード(緊急輸入制限措置)の条件緩和を求めたインドが米国と激しく対立し、歩み寄れなかった。大筋合意に近づいていた議論は土壇場で一転。各国が目指していた年内の最終合意は難しくなった。(関連記事3面に)
今回の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)には百五十三の国と地域が参加した。農産品や鉱工業品の関税を一律に削るルールをつくり、世界全体の貿易拡大につなげる狙いがあった。二〇〇一年末から七年に及ぶ議論を重ねたものの、急速に発言力をつけた新興国と、議論を主導する力を失いつつある先進国の溝は大きかった。
今回の交渉は二十一日から各国閣僚が議論を始め、とくに二十八日は翌日未明まで十四時間にわたって妥協点を探った。二十九日も少数国会合で打開を目指したが、失敗。同日で会合の日程を打ち切った。交渉再開のめどについても「最短でも米国の新政権が軌道に乗る来年半ばまで難しい」(ニュージーランドのゴフ貿易交渉担当相)との見方が強まっている。
米通商代表部(USTR)のシュワブ代表は「議長調停案は承認されなかった」と表明するとともに、「米国は引き続きドーハ・ラウンドに関与し続ける」と指摘。閣僚会合の決裂を事実上認める一方、交渉をあきらめない意向を示した。
最大の要因はインドなどが緊急輸入制限の発動条件緩和に最後までこだわった点だ。米国は国内農家に農業補助金を支給しており、インドは価格競争力の高い米国の農産品の輸入増を懸念した。インドや中国は米国に補助金の一段の削減を求めたが、折り合わなかった。
日本は国内農業を保護する観点から農産品の関税引き下げで守勢に回り、存在感を発揮できなかった。ドーハ・ラウンドの交渉再開は〇九年に誕生する米国の新政権が軌道に乗らないと難しいとの見方が多い。
閣僚会合が世界の統一ルール作成を試みたが挫折したことで、各国は二国間などの自由貿易協定(FTA)の枠組みを模索せざるを得なくなる。日本は農業市場開放が問題となり、欧州連合(EU)との交渉に入れないなど、苦戦が続いている。
WTO閣僚会合決裂、貿易自由化に冷や水、保護主義の恐れも、2008/07/30, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ
新興国台頭、変わる力学
【ジュネーブ=市村孝二巳】農業と鉱工業の貿易自由化ルールを決める世界貿易機関(WTO)閣僚会合が決裂した。大筋合意目前で米国とインドの対立が深刻になり、ついに時間切れとなった。中印など新興国の台頭でWTO交渉の力学も変わり、合意形成も難しさを増した。WTO交渉の漂流で、世界の自由貿易推進の機運もしぼむ恐れが出てきた。(1面参照)
日本時間三十日未明、日本の財務省にもジュネーブから「WTO交渉決裂」の一報が入った。米金融不安と原油高で世界経済が減速する中で、各国で保護主義機運が強まっている。WTO交渉妥結は、世界に向けて貿易自由化推進のメッセージを送り、保護主義を抑える効果を期待されたが、ジュネーブに集った閣僚たちはそれに失敗した。
土壇場で交渉が決裂するきっかけになったのが米国とインドの根深い対立だ。
二十九日未明まで約十四時間、断続的に行われた少数国会合。「一部の国の議論の方向性をたいへん懸念している」。休憩中に記者団の前に姿を現したシュワブ米通商代表部(USTR)代表は、名指しこそ避けたものの、インドと中国に批判の矛先を向けた。
争点は関税削減で輸入が急激に増えた場合、農産品の関税率を引き上げられる特別セーフガード(緊急輸入制限)の扱い。インドのナート商工相は議長調停案で「基準輸入量の一四〇%に達した場合」となっている発動要件を事実上撤廃し、途上国や新興国の判断で実施できるようにすることなどを求めた。
ナート商工相は記者団に「われわれは(議長調停案に)一度も同意したことはない」と述べるなど、態度を硬化させた。交渉筋によると、米のシュワブ代表はインドの主張を踏まえた調停案の修正を拒否。これで情勢は一変、交渉は決裂に向かっていった。
今回の交渉で米国は台頭著しいインド、中国に強硬姿勢でのぞんだ。二十八日午前の全体会合で、米交渉団は中印を名指しで批判する声明を発表。「このままでは手ぶらでジュネーブを後にすることになる」と、鉱工業品の市場開放で中印に一段の譲歩を迫った。
米国は中印が化学や工作機械など産業分野別の関税撤廃に消極的な点を問題視。議長調停案では新興国の分野別関税撤廃は二分野だけでしかも任意となっているだけに、化学など米国が自由化を期待する分野について中印の関税撤廃が確実になるよう、調停案の書き換えを主張した。
中国交渉団は即座に反発した。逆に米国のアキレスけんである農家向けの補助金問題を突き、追加削減を要求する声明を全体会合で読み上げた。
途上国から批判の強い農業補助金について米国は、交渉当初にいまの仕組みの上限である年四百八十二億ドルから年百五十億ドルへの削減を表明。調停案ではさらに年百四十五億ドルまで減らすことに事実上合意した。
だが実際には、食料価格の高騰もあって二〇〇七年の補助金実績は約八十億ドルにとどまる。新興国は米国に緊急輸入制限の緩和に加え、補助金の追加削減を求めたが、米国は首を縦に振らなかった。
日米欧と豪州、ブラジル、インドで構成する少数国会合に中国が参加したのは今回が初めて。中国の市場開放が真の狙いの米国にとって、中国を議論の場に迎えるのは必要な措置だが、相対的に新興国の発言力が増し、交渉の力学も大きく変わった。世界経済の中で新興国が台頭し、先進国の地位が低下する中で、国際通商交渉の難しさを示した。
【表】世界貿易機関の多角的通商〓交渉(ドーハ・ラウンド)の経過
2001年〓11月 カタールのドーハで閣僚会議。新ラウンド開始で合意
03年9月 メキシコのカンクンの閣僚会議。先進国、途上国の対立で決裂
04年8月 WTO一般理事会が今後の道筋や枠組みを採択
05年12月 香港で閣僚会議。貿易自由化のルールを定めた「細目合意」の達成を06年4月末に設定
06年7月 日本、米国など主要6者閣僚会合が決裂、新ラウンド凍結
07年1月 WTO貿易交渉委がラウンド凍結解除を了承
6月 米欧など主要4者閣僚会合が決裂
7月 農業、鉱工業品の両交渉議長が細目合意の草案提示
08年7月 ジュネーブで閣僚会合。交渉が決裂
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お潮様
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