3月29日審議会のあと、農業問題研究学会に出席したと書いた。その際の発言についてメモしておこう。 報告に、第三の道が出ていたが、第三の道の基本は、参加と補完、あるいは自治と補完といっても良い。政策は、弱者保護から(宮台真司はこれをネガティブウエルフェアーといっている)参加をする人々を支援する仕組みへの転換をしている(これを、やはり宮台はポジティブウエルフェアーと言っている)。ネガティブウエルフェアーからポジティブウエルフェアーへの転換といって良い。アンソニーギデンスは成熟したヨーロッパ社会を見ながら、市場原理の導入とセーフティネットの構築を主張しているのはよく知られている。 問題は、社会参加をする人々を支援すると言うが、参加意識の欠落した人々への対応をどうするかにある。農政は、参加意識を高めるべく、農業経営者を支援する制度へ転換している。そうした政策は全体の中で評価されるものではあるが、しかし、課題は、参加意識の欠落している、二種兼業農家への対応をどの様に考えるかであろう。昨今の、品目横断政策でも集落営農を認めるなど、二種兼業農家への配慮が続いている。確かに、99年農業基本法は、市場原理の導入と農業経営者の育成をうたって折り、一見第三の道のようには見えるが、しかしその施策は旧態依然としたこれまでのネガティブウエルフェアーと同様の発想ととられてもしょうがない施策内容となっている。 成熟したヨーロッパ型の補償政策をとる際に重要なのは、一方に市場原理が見えているか否かである。我が国の農政では、この市場原理が不明確であるために、そのことによって生じる事柄へのコンペンセートが不明確になっているという弱点を抱えていると私は思っている。 つまり、もし、農業保護を語るのであれば、まず、市場原理の導入を明確に言って、そのことの弊害やあるいは執行猶予を考えるセーフティネットを考える、これが第三の道の農政なのだろう。それが、民主党も自民党も主張できるかが鍵になるのではないか?