今日の一貫

自立型農政のイメージ

さて、90年代後半、経済成長が冷え込むことによって地方では様々な悲劇が生じた。私の身の回りでも様々な悲劇があった。
これを繰り返してはならない。

経済成長の余録、カネが国全体に回る仕組みを作る必要がある。
それを阻害している要因があれば除去する必要がある。
制度改革は必要である。

また安易な格差是正策に金をつぎ込むのはやめた方がいい。
わが国の政策で「格差是正」策が成功した試しはない。

「全国総合開発計画」は、現在5次目めに入っているが、1960年代から増大な国家予算を使った割には、産業の分散政策は失敗したと位置づけられている。
そのため、地域の自主性をより喚起する「国土形成計画」に引き継がれようとしている。

また中小企業政策や中心市街地活性化策も、これまでの有り様を見直し、地域での産業集積を重視する方向や、コンパクトシティ構想など、地元の潜在力を高める施策に転換してきている。

農政もやはりかくあるべしだろう。
米価を維持した格差是正、、はもうやめるべきではないか?
自立型の農政が必要と思う。

自立型農政とはどんなものか?

定義するとすれば、
農業成長や農業産出高の向上を農業振興の主要な課題と定め、農業に携わる者が当事者意識を持って(誰かに依存するのではなく)それを達成する事を旨とし、その成果が農村地域へ波及することを通じて農村地域の活性化策をはかるとするフィロソフィーやビジョンに基づいた施策、ということにでもなろうか。


自立型農政の具体的なイメージはヨーロッパに見て取ることができる。

ヨーロッパの成熟小国では、ITなどの先端産業とともに、1次産業や生活産業でも国際競争力を持っている。オランダ、デンマーク、フィンランド、スイス、ノルウェー、ドイツ、フランス等では農林水産業が主要産業となっている。

これらの国では、国民に充分に開かれ、もっと他産業を意識した、顧客志向の強い「先進国型・成熟国型」農業を展開している。

政策も「産業振興的な農政」を意識し、民間の知識やアイディアを生かす仕組みづくりに腐心している。

他方わが国の農業には国際競争力はなく「成長」は合わないと思われている。

農村を見ても既に農業者はほとんどおらず(65歳以上が6割)、農業産出額も毎年低下している。EU諸国の状況と一体どこが異なるのか?

農政の有り様が違うのだろう。

自立型農政を下記の地域の農業と考えてみよう。
世界でもわが国でも農業が成長してる地域は下記のようなところ。
eg(オランダ、デンマーク、フィンランド、スイス、ノルウェー等)
eg(千葉・茨城・愛知・静岡)

これらの地域の特徴を考えてみると、市場経済に馴染み、産業のノウハウが地域に蓄積し、進取の気風があること。

もっと具体的に言えば、
① 成熟した消費市場を抱え、
② 他産業のノウハウや成果を利用でき、
③ 同時に産業同士の融合も射程に入れることができる。
といった条件を持つ地域の農業が成長している。

知識集約産業や産業集積があり、かつ交流人口の多い地域の農業は成長している。農業の成長は一人農業だけではなく、他産業や地域の有り様と大きく関係していることから出てくる自立型農政の構築のために必要なことは、次のような点か?

①農業成長の産業政策の為に地域での高次な産業構造を作り上げること。
②農村のエートスを依存的なものから開放すること(開放的な精神が必要。そのための地域の文化の形成や雰囲気作りが大切になる) 


わが国の農政も、自立型農政に転換しないと、農村の疲弊はますます高じてくるような気がする。
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