今日の一貫

米韓FTA合意 FTAといってもこんなもの

2006年からはじまった米韓FTA交渉、07年の3月で大統領貿易促進権限(Trade Promotion Authority)」の期限となることから、3月31日までの終結が言われていた。
3月31日遅く、2日間の延長が決まったが、予断を許さなかった。課題は米や牛肉などの農産物や自動車の関税、といわれていた。韓国の農業部門では、この締結によって、1兆8千億ウォン(2083億円)の生産額の減少が予想されていた。

結論は、米国の自動車輸入関税を即時ないし3年以内撤廃。韓国の自動車特別消費税も削減。コメは対象外、例外品目。牛肉は韓国の輸入関税(40%)を15年の猶予期間を経て撤廃。豚肉と鶏肉は10年、ということに。5品目は関税割当で低関税化。アメリカの関心品目以外は現行関税のままに、等々。

このFTA、日本にとっては、自動車産業や家電産業に影響を与えそう。もっとも、家電業界にとっては、チリー韓国のFTAの方が痛手だったようだが。さらに米穀にとっては、世界10位のGDP大国とむすぶにしては実利がなかったかもしれないが、アジア戦略の一環、その突破口と考えれば、大いなる意義があるのだろう。

この合意、すぐに日米という雰囲気ではないものの、今後のわが国の産業政策を考えるには、大いに参考になる。

コメント一覧

武 正志
FTA(EPA)と国内農業政策との平衡(感覚)について
 仕事等がやや落ち着き、久しぶりに大泉先生のブログを拝読しました。迷惑かもしれませんが、また投稿します。よろしくお願いします。さて、米韓FTAですが、これはWTO交渉においても当てはまると思われますが、国際貿易に関する条約・協定が締結される場合、当該内容のみに焦点を当ててもよく理解できないのではないでしょうか。私は全国紙の新聞では日経新聞しか読んでいないので、マスコミ全体でどう論じられているかわかりませんが、あの日経新聞でさえ、米韓FTA後の韓国の今後の国内農業保護策を紹介していたはずです。また、詳細は忘れましたが、BRICsでも農業保護策(輸出補助金的なものを含め)が近年強化されているとOECDが批判していた記事も最近出ていたように思います。これらを別の観点で捉えると、農産物貿易自由化が進展する場合、それに対抗・対処し得る適切な国内農業政策を実施することが必要であること、日本においては、これに相当な水準の財政負担を行う必要があること、言い換えると、FTA(EPA)と国内農業保護策の組合せについて、現実の国内農業の状況を直視し、平衡を保つことが最重要であると考えます。単にFTAの締結内容だけを論じても意味がないのではないですか?FTA/EPAと農業について、遅ればせながら私も少しずつ勉強を始めましたが、(官庁を除き)最もバランスの取れた議論を展開されているのは東京大学の鈴木宣弘先生だと私見では思います。
 また、話は変わりますが、以前に批判コメントを投稿しましたし、大泉先生が参画されていることもありあえて書きますが、経済財政諮問会議のEPA・農業ワーキンググループの議論についてです。今日久しぶりに経財諮のHPを覗いたのですが、3月上旬以降のWGの議事要旨がまったく掲載されていません。内閣府が秘密主義に方針転換したわけでもないでしょうが(3・4月の多忙期で議事録作成に手が回らないだけかもしれません)、どうなっているんでしょうか。今日まとめて読んだ農業共済新聞の中に、同会議で経済界選出委員が日米EPAを早急に協議開始すべしと主張しているとの記事があり、あまりの議論のレベルの低さに少々驚いています(国際経済学の教科書等に出てくるGATTの自由・無差別・多角的の貿易理念はどこへ消えたんでしょうか?)。支障がなければ、先生のブログで会議の内容・論点を紹介していただけると幸いです。また長くなり、失礼しました。
テンペ
さてはて
開城工業地域の取り扱いもあるので一筋縄でいくかどうかはまだ不明瞭なところが多いですね。
米-モロッコFTAのように政治事情を優先させている感じもしますし。

日韓FTAは日本の自動車産業が妥協をしないと難しいでしょうねえ。
日本農業にとっては韓国の高関税が下がることや種苗権の同一化などのメリットもありますが、さてどうなるか…。
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