午前の担当者が引き続き担当する番組。あの間延びのした音楽、それに午前よりは少々ゆっくり目になったアナウンサーの声、異次元に入ったような気になる番組です。
異次元といっても、昔に戻ったような、それでいて昔とは違う、そんな空間で、「変化が善」と信じてきた我々世代からすれば、何ともつかみ所のない番組なのです。
最近は主に行事や習慣などの、地方での暮らしぶりを話題の中心としているようです。
テーマ音楽もこの何十年と変わらないなど、変化のないこの番組に、実に大きな変化がこの10月2日からがありました。
これまで情報を提供してくれていた、「農林水産通信員」の名称が「ふるさと通信員」に変わったのです。
なーんだと思われるかもしれませんが、他の番組にとっては些細なことでも、変化のなかった「昼のいこい」からすれば、実に大きな変化と思います。
この変化は、農林水産業の変化と無関係ではなく、おもしろいと思ったのです。
1次産業がもはや業としては少数になった今日、12時という、いい時間帯を使ってまで話すまでもない、と考えたのかもしれません。
もともと、この番組、「ふるさとの情報を伝える」がコンセプトだったのではないでしょうか。
高度経済成長時代の人々にとって、実家やそれがあるふるさととなれば、「農家」となるケースが多かったと思います。日本の歴史でこの時期ほど地方から都市へ大量な人口移動がなされた時期はなかったでしょう。
そこで番組は、農業のことや林業のことを伝え、ふるさとを思い出していただこうと、考えたのかもしれません。
しかし、それも今や「農林水産業を通じて」ではなく、「ふるさとの事を直に」伝えるよ、ということにした、というメッセージをNHKは出したのです。
つまり農業と、農村を切り離したということで、それは等値ではないと認識するようになったということです。
この認識は非常に大事なことです。
地方や、地域といったもの、あるいは田舎と呼ばれるものは、昔は、確かに農業の産出額が高い、農業を中心とする地域でしたが、今はそうではないということです。
「農家がいない農村」がふつうなのです。
農業は今の制度では農家しかできませんから、農家がいない農村では、農業は一部にしかない状態です。農村での農業の産出額はもはや10%を割ってる状況です。
ただ、たしかに、農業と農村を一緒に考える根拠はなくなってきましたが、それでも農村には農業がなければならないのです。
都市との大きな違い、あるいは都市と違った農村を農村として定義するものは、農村的土地利用の相対的比率の多さでしょう。あるいはDID地帯からの距離や人口密度の薄さでしょう。都市との違いは、まさに農業が産業としてたち行かなくても、都市的土地利用ではない土地利用がそこにあるかないかなのです。
多くの人が、農業がだめになったら農村はだめになるといってますが、必ずしもそうではないということです。わずか1割がだめになって、残りの9割が支えるでしょうし、その1割も1割全部がだめになるはずもないのです。
つまりある意味、「農林水産通信員」から「ふるさと通信員」への変化は、農業やらを報告するものから、地域の個性・特徴を報告するものに変わるのだろうと思います。
今回の変更は、それだけ大きな意味があると私は思うのです。
これからは、東京をふるさととする人が、東京日本橋情報などを流してくれるかもしれません。昔から続くいいものをこの番組で紹介してほしいものです。
ところで、この「通信員」、実は、県庁職員、とりわけ農業普及員が担ってるケースが多く、そうした意味でも農業普及事業は、都市と農村を結ぶ貴重な仕事もやっていたわけです。それがふるさと通信員ですから、普及員の役割も農業政策から地域政策に変わりつつあるのかもしれません。
「昼のいこい」のテーマ音楽はいつから使われているのでしょうか?
「昼のいこい」自体はいつから放送が始まったのでしょうか?
懐かしいアナウンサーの声もいろいろ記憶してるのですが、なくなって欲しくない番組です。
村上信夫アナの声もなかなか明るくいいと思いますが、この番組になって身が引き締まるような声になるのもまたいいです。
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